<b>写真1 米VMware社のSrinivas Krishnamurti氏</b>
<b>写真1 米VMware社のSrinivas Krishnamurti氏</b>
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&lt;b&gt;写真2 バーチャル・アプライアンス専用のOS「BEA Liquid VM」を用いた際のアプリケーション・サーバーの性能(スケーラビリティ)&lt;/b&gt;&lt;br&gt;Linux上でJava VMを動作させた場合(右)では,スケーラビリティに問題があった。
<b>写真2 バーチャル・アプライアンス専用のOS「BEA Liquid VM」を用いた際のアプリケーション・サーバーの性能(スケーラビリティ)</b><br>Linux上でJava VMを動作させた場合(右)では,スケーラビリティに問題があった。
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 米VMware社は,仮想化されたOSとアプリケーションの組み合わせを「バーチャル・アプライアンス」と名付け,同社のWebページ「Virtual Appliance Marketplace」(VAM)上で公開している。バーチャル・アプライアンスの展開について,同社のProduct management兼Market Development DirectorのSrinivas Krishnamurti氏に聞いた(写真1)。

バーチャル・アプライアンスのメリットは何か。

 バーチャル・アプライアンスとは,VMware上で動作するOSとそのOSにインストールされたアプリケーションの組み合わせをいう。バーチャル・アプライアンスを採用するアプリケーション・ベンダー側のメリットとしては動作環境(OS)を固定でき,すばやく開発できること,開発コストとサポート・コストを低減できること,などが挙げられる。ユーザー側のメリットとしては,利用したいアプリケーションのインストール,設定が不要になり,OSのパッチ適用など,アプリケーションの利用とは無関係な作業が減ることにある。

すべて無償なのか。

 バーチャル・アプライアンスとしては,当初は無償で利用できるLinuxディストリビューションなどが目立ったが,次第に試用版,さらに有償で販売する製品が現れている。特に小規模なアプリケーション・ベンダーでは,売上の半数以上がVAM経由である場合もある。

バーチャル・アプライアンス専用のOSというのが出てきたが。

 2007年9月に入り,バーチャル・アプライアンス専用のOSを開発し提供するという新しい動きが見え始めた。例えばマン島Canonical社は,バーチャル・アプライアンス専用のOS「Ubuntu JeOS」を開発し,早速,仏Business Objects社が採用している。

実機に比べると動作は遅いのでは?

 米BEA Systems社は,同社のJavaアプリケーション・サーバー向けに「BEA Liquid VM」を開発した。仮想実行環境を使うと,実マシン上で動作させた場合に比べて利便性はともかく,実行速度が遅くなるのではないかという疑問があるが,実際にはメモリー使用量を50%削減し,実マシンよりも高速に動作するという(写真2)。Linux上でJava VM(Java仮想マシン)を動作させていた場合は,スケーラビリティに問題があったが,BEA Liquid VM上で直接Java VMを動作させることで解決した。

標準化の動きなどはあるのか。

 2007年9月10日に,米Dell社,米Hewlett-Packard社,米IBM,米Microsoft社,米XenSource社と共同で,システム管理の標準化団体であるDistributed Management Task Force(DMTF)に提出した仮想マシン・イメージの共通フォーマット仕様「Open Virtual Machine Format(OVF)」の草案についても詳細を明らかにした。

 OVFはファイル・フォーマットであり,XMLベースの3種類の情報(X.ovf,X.mf,X.cert)と仮想ハード・ディスクなど3種類のOS,アプリケーション情報を一体化したものであるという。VMwareのバーチャル・アプライアンスについては,OVFとの双方向変換ツールを提供する。