写真1 米AMD社の会長兼CEOのHecter de J Ruiz氏
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写真2 クアッドコア版Opteronのダイ。4つのコアが確認できる
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写真3 新Opteronの仮想実行環境における性能。RVI技術を用いない場合を100とすると,MicrosoftのSQLサーバーに負荷をかけた場合「114」,Microsoft Terminal Servicesを実行した場合には「123」の性能を発揮する。米AMD社によるベンチマーク・テストであり,テストしたOpteronのモデル番号は2350
写真3 新Opteronの仮想実行環境における性能。RVI技術を用いない場合を100とすると,MicrosoftのSQLサーバーに負荷をかけた場合「114」,Microsoft Terminal Servicesを実行した場合には「123」の性能を発揮する。米AMD社によるベンチマーク・テストであり,テストしたOpteronのモデル番号は2350
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 米AMD社の会長兼CEOのHecter de J Ruiz氏(写真1)は2007年9月11日(米国時間),「VMworld 2007」の基調講演において,同10日に発表したばかりのクアッドコア版Opteron(開発コード:Barcelona,写真2)の性能について明らかにした。

 クアッドコア版Opteronには,仮想実行環境での性能向上に役立つ新機能「Rapid Virtualization Indexing(RVI)」技術が搭載されている。RVIは,従来「NPT(Nested Page Table)」と呼ばれていた技術。RVIを有効にすると,仮想実行環境において14%から23%の性能向上がみられたという(写真3)。

 実環境に比べ,仮想実行環境の性能が劣る理由の一つが,実環境では必要なかったメモリー・アドレスの変換処理をソフトウエア的に処理しなければならないことである。

 仮想化ソフトを使わない場合,OSが管理するメモリー・アドレスから物理的なメモリーへのアドレス変換は,MMU(Memory Management Unit,メモリー管理ユニット)と呼ばれる専用回路が実行している。具体的には,仮想アドレス→リニア・アドレス→物理アドレスという2段階の変換をMMUが行う。

 ところが,仮想実行環境においては,仮想マシン上の物理アドレスから,物理マシン上の物理アドレスへのアドレス変換も必要になる。仮想環境内のOSのメモリーのページ・テーブルをソフトウエアが変換しなければならない。

 仮想実行環境内のOSにおいて,メモリー内容の書き換えが発生した場合,特にアドレスが離れた位置での書き換えが複数発生した場合には,ページ・テーブル自体を再作成する必要がある。再作成処理は負荷が高く,OSの処理がいったん止まってしまうほどである。

 RVIの実態は,ページ・テーブルの書き換えと再作成を処理するために,CPUに内蔵された専用の回路だ。これにより仮想実行環境での処理性能向上を実現できるという。