写真1●米AMDのフィル・へスター上級副社長 兼 CTO(最高技術責任者)
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写真2●「クアッドコア Opteron プロセッサ」を搭載したサーバーを開発する7社が発表会で勢揃いした
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 日本AMDは9月11日、プロセサ内に4つのコアを搭載した「クアッドコア Opteron プロセッサ」(開発コード名はBarcelona)を発表した。同社初のサーバー向けクアッドコア・プロセサであり、従来の「デュアルコア Opteron プロセッサ」の後継だ。動作周波数が2.0GHzの標準モデルと1.9GHzの低消費電力モデルの2種類があり、ともに11日に発売を開始する。

 米AMDのフィル・へスター上級副社長 兼 CTO(最高技術責任者)は、現在データセンターなどでプロセサの省電力化が強く求められているとして、「クアッドコアのOpteronはパフォーマンスを強化しながらも、消費電力をデュアルコアのOpteronと同等か、少し下回るくらいに収めることができた。冷却コストが増えることもない。データセンターからの需要に応えることができるプロセサだ」と強調した。

 ソケットには互換性があるため、従来のデュアルコア・プロセサをクアッドコアに付け替えるといったことが可能だ。へスターCTOは「サーバーの性能をエントリー・クラスからハイエンドまで拡大するといったことが容易にできる」と話す。

 ライバルの米インテルは、既に昨年11月からクアッドコア・プロセサの提供を開始している。ただ、インテルの製品は2つのダイの上にコアを2つずつ置いたタイプの製品で、今回日本AMDが発表した1つのダイの上に4つのコアを置いたタイプのものとは構造的に異なっている。そのためヘスターCTOは、「我々は真のクアッドコア・プロセサを提供する」と違いを強調する。

 今回、クアッドコア版Opteron搭載サーバーの開発を発表したのは、イージェネラ、クレイ・ジャパン・インク、サン・マイクロシステムズ、デル、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、富士通の7社。国産ベンダーで唯一開発を表明した富士通の富田達夫経営執行役常務は、「HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)分野での性能に注目している」と述べており、現在のところ一般企業向けの製品を開発する予定はない模様だ。

 製品は2系統4種類に分かれる。系統としては、1つのきょう体に2つのプロセサを搭載するサーバー向けの2000シリーズと、同8プロセサ搭載サーバー向けの8000シリーズがある。2000シリーズには、動作周波数2.0GHzの標準モデル「2350」と、同1.9GHzの省電力モデル「2347 HE」があり、価格はそれぞれ、389ドル(約4万4000円)と377ドル(約4万3000円)。8000シリーズは、動作周波数2.0GHzでの標準モデル「8350」同1.9GHzの省電力モデル「8347 HE」の2種類で、価格は1019ドル(約12万円)と873ドル(約10万円)だ。

 日本AMDは今後、HPC分野に向けたモデルを第4四半期(10~12月)中に発売する予定だ。デスクトップ向けの「Phenomプロセッサ」も年内をめどに出荷を開始する計画だという。