米AMDが9月10日(米国時間),単一パッケージに四つのマイクロプロセサ・コアを搭載した新型クアッドコア・プロセサ「Quad-Core AMD Opteron」(開発コード名「Barcelona」)を発表した(関連記事:AMD,クアッドコア・プロセサ「Barcelona」の1.7G~2.0GHz版を提供開始)。当初AMDはBarcelonaをサーバー市場向けに販売するが,既存世代のデュアルコア・プロセサと同じくデスクトップ市場向けモデルの展開もすぐに始めるだろう。

 AMD会長兼CEOのHector Ruiz氏は「当社が再び業界標準コンピューティングに対する期待を高めたことから,(Barcelonaを発表した)本日がマイクロプロセサの歴史において偉大な出来事の一つとして記される」と述べた。「われわれは顧客やパートナと密に協力し合い,このQuad-Core AMD Opteronプロセサで実現する新世代のプロセシング・ソリューションを作り上げてきた。同プロセサは,クアッドコア分野の処理速度,省エネルギー,仮想化,既存投資保護という項目で勝利を収めた」(Ruiz氏)。

 当面AMDはプロセサ大手の米Intelを技術的に引き離し,数年前に初めてデュアルコア・プロセサをリリースしたときと同様に,クアッドコア分野で唯一の存在となる。Intelは2006年遅くに初のクアッドコア・プロセサを出荷したが,技術面で劣っており,実体はデュアルコア・プロセサを2個つなげただけの代物だった。Intel初の“本物の”クアッドコア・プロセサは,2007年11月にならないと登場しない。

 もちろん現在の状況は,AMDが2003年のデュアルコア版Opteronによってプロセサ戦争でスタート・ダッシュした当時と違う。現在IntelはAMDに対する猛攻撃を準備しており,競合製品のロードマップを詳細に策定済みだ。したがって,AMDとIntelの差は4年前より小さくなっている。さらにAMDの新型プロセサのリリースは技術上の問題で予定より10週間遅れ,動作周波数が最初の狙いより下がった。AMDは2007年初めに3GHz動作のクアッドコア・プロセサをデモンストレーションしたにもかかわらず,現時点の最高周波数は2GHzである。ただしAMDは,速やかに周波数を上げるという。

 AMDが新型プロセサで省電力に注力していることは,驚くにあたらない。一般的にAMD製プロセサのほうがIntel製よりも消費電力が少ない。省電力性はAMD製プロセサへの移行に貢献するだろう。今日のデータセンターでは消費電力が最大の問題の一つであり,企業は過去10年間サーバー・ルームで当たり前のように使われてきた発熱が多く高価なプロセサより“地球に優しい”代替プロセサを求めている。