中央はテムザックの高本陽一社長、右はマイクロソフトの加治佐 俊一CTO、左は早稲田大学 創造理工学部の高西淳夫教授。ロボットはテムザックIV号機
中央はテムザックの高本陽一社長、右はマイクロソフトの加治佐 俊一CTO、左は早稲田大学 創造理工学部の高西淳夫教授。ロボットはテムザックIV号機
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Robotics Studioの「ビジュアルプログラミング言語」画面
Robotics Studioの「ビジュアルプログラミング言語」画面
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Robotics Studioの3Dシミュレーション画面
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 マイクロソフトとロボット開発のテムザックは2007年9月7日、ロボット制御のソフトウエア部品の開発で協業すると発表した。マイクロソフトのロボット開発プラットフォーム「Robotics Studio」でテムザックがロボットの制御用ソフトウエアを開発するほか、共同研究をしている大学などにRobotics Studioの採用を呼びかける。これまで大学や企業では、それぞれが独自のロボット制御用プログラムを作成していたが、開発環境の共通化でロボット開発の効率化が期待できるという。

 「すべての家庭にロボットを」。2004年、米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は日本のホビー向け2足歩行ロボットが機敏に動く様子を見て、こんな指針を示したという。マイクロソフトが創業当時、Basic言語を開発してコンピューター産業を大きく成長させた。それと同じような新しい可能性をロボットに感じたというのだ。

 マイクロソフトの加治佐 俊一CTOは「ロボット市場の現状を見ると、教育、娯楽、趣味、研究などの分野で優れたものが出てきているが、残念ながらそれぞれの技術が独立していて、つながっていない」と指摘する。Robotics Studioは、そうした分断化されている技術を統一するプラットフォームになるという。Robotics Studioは、機能を示すブロックを画面上でドラッグ・アンド・ドロップすることで制御方法を指定でき、3D空間内で物理シミュレーションする機能も備える。

 テムザックは大学や企業と協力して災害救助用ロボット、警備案内ロボット、人を乗せながら歩く研究用ロボットなどを開発してきた。それらの技術的蓄積をもってしても、従来は別々の大学や企業でソフトウエアを共有することは困難があったという。例えば「京都大学と開発したロボットの腕のプログラムを、早稲田大学と協業した2足歩行ロボットに応用できればいいのだが、それが難しい。Linuxベースでリアルタイム処理をしているなど、ソフトウエアが別々に進化している関係で横につなげることができない」(テムザックの高本陽一社長)。テムザックは、同社のロボットをRobotics Studioで動かすためのテストを進めており、姿勢制御、対話機能、警備、制御といった共通化されたソフトウエア部品の開発を目指す。