ニューシティコーポレーションの最高情報責任者(CIO),菰田丈士氏
ニューシティコーポレーションの最高情報責任者(CIO),菰田丈士氏
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同社のITアシスタントマネージャー,功刀(くぬぎ)夏記氏
同社のITアシスタントマネージャー,功刀(くぬぎ)夏記氏
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 「SOAの価値は,システムの統合にある」。9月7日に開催されたソフトウエア開発者向けイベント「X-over Development Conference 2007」の講演において,不動産投資会社のニューシティコーポレーションの菰田丈士執行役員・最高情報責任者は,システム構築にSOA(サービス指向アーキテクチャ)を使う効果や課題を説明した(写真1)。実際,既存システムを生かすことや,ノンプログラミングの開発環境によって,開発開始から約5カ月でシステムを稼動できたという。

 同社が昨年構築したシステムは,「トランザクション・マネジメント・システム(TMS)」。不動産投資に関連する一連のプロセスと情報を一元管理する。物件情報の登録,分析,資金調達,契約といった業務フローを担う。国内海外合わせて約450人が利用する全社システムである。従来は,各人がExcelなどを使って個別に情報を管理していた。

 同社がSOAを採用したのは,短期間の構築が経営から求められていたことが大きい。SOAを用いたツールの「Oracle BPEL Process Manager」を採用。既存システムの統合やビジネス・プロセスの設計・開発を短期間で実現した。

 連携する必要があったシステムには,財務会計や物件管理用のデータベース,自社や他社の物件を比較するデータベースなどがあった。これらはOracle BPELの機能を使ってWebサービスで連携している。

 また,今回はプロセスを標準化したものの,それでもバリエーションが少なくなかった。例えば,物件の種類だけでも組み合わせによって9種類,加えて上海やサンフランシスコなど海外6拠点でそれぞれビジネス・プロセスに違いがある。こうしたビジネス・プロセスは,すべてGUIで定義し,プログラムを自動生成できた。このため,開発要員も集めやすかったという。

 SOAを利用する際の注意点について,同社ITアシスタントマネージャーの功刀夏記氏は,「プロセスが多かったり,複雑だったりすると適用しにくい」と述べる。今回,プロセスを標準化できたことが成功要因といえる。またOracle BPELを利用する上での注意点として,「機能のカバー範囲が広過ぎるため,どこまで利用するかをあらかじめ定めること,開発環境に十分な性能のマシンを用意すること」を挙げた。