写真1●μ-Chip Hibikiを使ったシールラベル型ICタグ
写真1●μ-Chip Hibikiを使ったシールラベル型ICタグ
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写真2●高出力型リーダー/ライター 出力は1W
写真2●高出力型リーダー/ライター 出力は1W
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写真3●リーダー/ライター用アンテナ
写真3●リーダー/ライター用アンテナ
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 日立製作所は9月6日、2004年8月~2006年7月の2年間で経済産業省の委託を受けて開発した単価5円の「響タグ」の機能強化版「μ-Chip Hibiki」を07年11月末にサンプル出荷すると発表した。これまでサブセットでしか対応していなかった国際標準ISO18000-6タイプC(EPC Gen 2)に完全対応し、プライバシ保護などのセキュリティ機能を強化した。メモリー容量も従来の528ビットから2kビット(ID領域が240ビット、ユーザー領域が1536ビット)に増やした。量産品の出荷は08年2月末に開始する。

 単価は月産1億個に達すれば、無線ICタグの素材に当たるインレットの状態で従来品と同じ5円で販売できるという。発売時にシールラベル型の1ロール(500枚)を購入した際の単価は百数十円の見込み(写真1)。

 セキュリティ機能は、06年8月~07年3月に経産省から委託を受けて日立が開発したもので、2種類ある。一つは、メモリー・ブロックごとに異なるパスワードを設定して、アクセス制御ができる機能。サプライチェーン管理などで、メーカーと卸業者、小売業者がそれぞれ固有のデータを記録したい場合などに使える。パスワードで保護したデータは、通常のタイプC準拠のリーダーでは読み取れない。今回のセキュリティ機能に対応したリーダーとアンテナは、日立がそれぞれ90万900円、8万9250円の価格で07年11月末に出荷する(写真2、3)。

 もう一つは、専用のコマンドを使って通信距離を短くするプライバシ保護機能である。通常は3~5mある通信距離を、一般に受け入れられている「Suica」(13.56MHz帯)などと同程度の数十cmに切り替えられる。カバンに入れた物に付いたICタグが5m先から読めるとなれば、プライバシ問題は深刻になるが、Suicaと同程度なら受け入れられやすいとみる。通信距離を元に戻すことも可能。販売時に通信距離を短くし、返品時やリサイクル時に元に戻して長距離通信を生かすといった使い方ができる。