ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)が,無線MAN(メトロポリタンエリアネットワーク)規格「IEEE802.16e」(通称:モバイルWiMAX)を,「IP-OFDMA」という名称で第3世代移動通信(IMT-2000)システムの1方式として2007年10月に勧告する見通しとなった。ITU-Rは中国の反対を受けて2007年6月に,今回の案件をWP8F(Working Party 8F)に差し戻していた。WP8Fは特別会合を8月下旬に開催し,既存のIMT-2000方式との共存条件などを今後規定するといった条件付きで,802.16eをIMT-2000の1方式とする方針を親会である「SG8」(Study Group 8)に報告した。

 これを受けて,ITU-Rが勧告を行う見通しとなった。勧告が行われれば,世界各国でIMT-2000サービス用にITUが分配している周波数を,802.16eに割り当てられるようになる。中国が反対意見を唱えたのは,802.16eと一部の技術が競合する独自方式「TDSCDMA」を自国の3Gサービスに導入したいと考えているからだ。またドイツはTD-CDMA方式を導入しており,既存のIMT-2000方式と802.16eとの共存条件を今後規定することを中国とともに求めていた。