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 独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)は9月6日、情報処理技術者試験の新制度案を、記者向けに説明した。2009年春から新たな制度を開始する計画である。9月7日15時に、IPAのサイトで案を掲載し、一般からのコメントを求める。

 新制度で最も大きく変わるのが、エントリ試験(仮称)の創設。ITが専門ではない一般学生や社会人をターゲットにする。IPA情報処理技術者試験センターの澁谷隆センター長は「職業人として誰もが共通に備えておくべき基本的な知識の習得を目的とする。技術の中身よりも活用に重点を置く」と述べる(写真)。

 エントリ試験の内容は大きく3つに分かれる。(1)経営戦略、システム戦略、法務などを対象にする「ストラテジ系」、(2)プロジェクトマネジメントや調達マネジメントなど「マネジメント系」、(3)ソフトウエアやハードウエア、データベースなど「テクノロジ系」である。これらを合わせて100問出題する。

 エントリ試験の合格証書には得点を記載する。合否を判定する国家試験としては珍しい。民間の英語検定試験のように企業が点数を評価する位置付けにする意図とみられる。また、3分野でバランス良く知識を得るようにする狙いから、「3分野それぞれで30点以下は不合格にするといった案を考えている」(澁谷センター長)という。

 広く試験を展開するといった狙いから、パソコンでテストを受けられるCBT(コンピュータ・ベースト・テスティング)の導入を予定している。08年秋に、紙によるテストを試験的に開始し、09年春にCBTを導入する見込みである。

 新制度はこのほか、レベルの高い高度試験を11区分から9区分に減らす、情報システム利用側と開発・運用側という従来の分け方を無くし統一する、ITSSなどスキル・フレームワークと試験を対応付ける、組み込みソフト系の出題を増やす、といった変更を予定している。

■変更履歴
当初、「経済産業省のサイトで案を掲載」としていましたが、正しくは「IPAのサイトで案を掲載」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/09/07 14:40]