「止めてはいけない重要なシステムは、世の中にどれだけあるのだろうか。ベンダーや顧客、マスコミも交え、もっと議論すべきだ」──。情報サービス産業協会(JISA)の浜口友一会長(NTTデータ取締役相談役、写真)は、8月31日に開いた記者懇談会で、こう問題を提起した。
浜口氏は、一時も止めてはいけないシステムとして航空管制システムを例に挙げた。刻一刻と移動し続ける航空機を監視するシステムが障害で止まれば、多数の乗員乗客の生命が危機にさらされるためだ。
その一方で浜口氏は、「大手銀行のATMがシステム障害で30分止まると、(新聞やテレビは)大問題として報道する。だが、本当に止まってはいけないのだろうか。30分でだめなら、何分だったら許されるのだろうか」と疑問を投げかける。「日本という国は欧米と比べ、こと信頼性に関して見る目が厳しい。その日本人の要望に応える形で、システムの信頼性は高水準の領域に達している」。
システムの信頼性への過度な期待が、開発・運用コストを押し上げていると浜口氏は指摘する。「同じ航空会社のシステムでも、航空管制システムと、航空券を予約・発券するシステムとでは、求められる信頼性が異なってしかるべき。本当にそこまでコストをかけるべきなのか、システムの種類や用途ごとに、あるべき信頼性のレベルを議論すべきだ」と提案する。
JISAは日本最大のSI業界団体。8月30日時点の会員数は、正会員と賛助会員の合計で734社。