複数個所への接触を同時に検知できる
複数個所への接触を同時に検知できる
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画素ごとに光センサーを内蔵することに成功
画素ごとに光センサーを内蔵することに成功
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スキャナーと同じ仕組みであるため名刺の読み取りも可能
スキャナーと同じ仕組みであるため名刺の読み取りも可能
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 シャープは2007年8月31日、タッチパネル式の小型液晶「光センサ内蔵システム液晶」を開発し、2008年にも量産を開始すると発表した。スキャナーなどで用いられている光センサーを液晶パネルの画素一つひとつに内蔵し、触れた指先などを検出するのがポイント。従来型のタッチパネル液晶に比べて高画質かつ薄型にでき、複数の指でタッチしてもそれぞれの場所を検知できる。同社は、デジタルカメラやPDA、ノートパソコンで活用が進むとみており、自社製品への搭載を検討するほか、他社にも販売したい考えだ。

 従来のタッチパネル液晶は、液晶パネルの上部にセンサー層を張り合わせる構造を採っていた。このため薄型化しづらく、センサー層で光を反射したりバックライトからの光量が低下したりといった、画質面での問題を抱えていた。「光センサ内蔵システム液晶」の場合、センサーを画素に内蔵したことで、通常の液晶と同等の薄さを実現でき、加えて画質も液晶本来の実力を損なわない。

 複数個所への接触を同時に検知できるのは、液晶の表面に当たった光で、接触したことを読み取る方式であるため。従来の、接触時の指の圧力を読み取る「抵抗膜方式」や、センサーの表面に流れる微弱電流が接触によって変化する様子を読み取る「静電容量方式」では、同時検知できる数に限界があった。「これまで2個所止まりだった接触数を、新方式では一気に増やせる。10本の指で同時に触れてもその場所を検知できる」(方志教和・モバイル液晶事業本部長)。2本の指で同時に液晶をなぞると画面の拡大や回転ができるのはもちろんのこと、これまで不可能だったソフトウエアキーボードを表示して10本の指で操作することもできるようになる。

 10.4型や12.1型までの大画面化も視野に入っており、解像度もVGA(640×480ドット)まで高められるという。「コストも、従来式のタッチパネルとほぼ同レベル」(方志氏)。タッチパネルを活用したパソコンとして「Tablet PC」があるが普及しているとはいえない状況にある。新方式の液晶が登場したことで、新しいタイプのTablet PCが登場する可能性がある。