米IBMは米国時間8月28日,「Cell Broadband Engine(Cell/B.E.)」プロセサ・ベースの新型ブレード・サーバー「IBM BladeCenter QS21」を発表した。10月26日より利用可能とする。

 Cell/B.E.は,IBM,東芝,ソニー,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が共同開発したプロセサ。IBMの64ビットPowerプロセサ・コアをベースとする。8個の演算コアと1個の制御用コアを備える。初期段階のハードウエア試験では,演算速度が最高で200ギガFLOPSを超えたという。現在SCEのゲーム機「PlayStation 3」も利用している。

 QS21は動作周波数3.2GHzのCell/B.E.を2個搭載する。同プロセサのレベル2(L2)キャッシュ・メモリーのサイズは512Kバイトで,さらに演算コアがそれぞれ256Kバイトのローカル・メモリーを持つ。メモリーはプロセサ1個当たり1Gバイト(合計2Gバイト)で,ギガビットEthernetポートを2つ備える。

 BladeCenter製品系列のきょう体1台に14枚を格納可能。既存モデル「BladeCenter QS20」の格納枚数は7枚だった。

 オプションでPCI-Express経由のデュアル・ポート4x InfiniBand HCAとPCI-X経由のSerial Attached SCSI(SAS)に対応し,最大2GバイトのI/O用バッファ・メモリーを搭載できる。対応OSはRed Hat Enterprise Linux 5.11。

 IBMが公表するQS21の主な処理性能は以下の通り。

・消費電力1W当たりの演算速度:1.05ギガFLOPS
・最高演算速度:約460ギガFLOPS
・BladeCenterきょう体1台での演算速度:6.4テラFLOPS
・標準の42Uラックでの演算速度:25.8テラFLOPS以上

 またIBMは同日,Cell/B.E.向けソフトウエア開発キットの新版「IBM Software Development Kit(SDK)for Multicore Acceleration Version 3.0」を発表した。QS21とx86系プロセサ・システムが混在する環境でアプリケーション自動パーティショニングを行う機能などを新たに提供する。10月19日より利用可能とする。

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