「米司法省(DOJ)が米Microsoftに対して下した独占禁止法違反の是正命令は,市場競争と消費者に恩恵をもたらしている」などとする報告を,DOJが米国時間8月30日に行った。

 同省の反トラスト局司法次官補のThomas O. Barnett氏は,「DOJの最終判断はミドルウエアの開発と流通を保護し,Microsoftによる排他的行為の継続を防止することに成功している」と述べる。

 DOJは,「Internet Explorer(IE)」以外の「Firefox」「Opera」「Safari」といったWebブラウザの普及,米Appleの「iTunes」や米Adobe Systemsの「Flash」のようにマルチメディア・コンテンツを扱う技術の人気高騰,従来はパソコン上で稼働していたアプリケーションのオンライン・サービスへの移行,大手メーカーによるLinux搭載コンピュータの投入などを例に挙げ,「Webブラウザ,メディア・プレーヤ,インスタント・メッセージング(IM)ソフトといった分野における消費者の選択肢が拡大している」と強調した。

 またDOJは,是正命令がMicrosoftの市場シェアを一定規模まで縮小することを目指したわけではなく,Microsoftがそれまで押さえつけていた競争的環境を復活させるためのものだと説明。「最終判断はこの目的を遂げつつある」(DOJ)。

 当初,Microsoftの是正命令遵守を監視する期間は2007年11月までの予定だったが,プロトコル・ライセンスに関する取り組みが不十分であるとして,2009年11月まで期間を延長することをDOJは決定。2006年に米連邦地方裁判所がこれを認め,Microsoftも合意している。

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