写真 ターボリナックスの矢野広一社長
写真 ターボリナックスの矢野広一社長
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 ターボリナックスは2007年8月29日,開発やサポートの基本方針および製品ロードマップなどを発表した。発表会で登壇した矢野広一社長(写真)は,「OS,アプリケーション,ハードウエアの3つを機軸とした製品を今後も投入していく」として,「OS事業は止めない」と明言した。

 同社のLinuxディストリビューションについては,デスクトップ版が2005年11月発売の「Turbolinux FUJI」(以下,FUJI),サーバー版が2004年10月発売の「Turbolinux 10 Server」(以下,10 Server)以来,デスクトップ版とサーバー版のいずれもメジャー・バージョンアップは行われていない。そのため,OS事業から撤退するのではという見方もあったが,今回の発表でそれを否定した。

 その上で同社は,製品のリリース・サイクルや開発とサポートに関する基本方針を明らかにした。主な内容は以下の通りである。

 まず,デスクトップ版とサーバー版は,それぞれ2年をめどにメジャー・バージョンアップを行う。メジャー・バージョンアップがない年は,アップデート用のパッチなどをまとめて収録した「サービスパック」を提供する。急きょ必要となる新規のハードウエア用のデバイス・ドライバやセキュリティ・パッチ,不具合修正用のパッチは随時投入する。

 次に,バージョン番号が同じになるサーバー版とデスクトップ版では,LinuxカーネルやX Window Systemなど,コアになるシステム・ソフトウエアを共通化する。ただし,バージョン11相当のFUJIと,今後登場する「Turbolinux 11 Server」に限っては共通化されないという。その次から,サーバー版とデスクトップ版で共通化する計画。

 最後に,製品のメンテナンス期間については,通常はサーバー版が5年,デスクトップ版が3年だが,現行のFUJIと10 Serverは1年間延長する。どちらも新版のリリースが一定期間ないための暫定措置である。

 以上に加えて,今後の製品ロードマップも明らかにした。同社はサーバー版の「Turbolinux 11 Server」を2007年11月下旬に出荷開始する。10 Serverと比べ,最新カーネルの採用などにより,Webサーバーとしての性能が向上するという。また,2006年4月に子会社化したゼンド・ジャパンのPHP開発環境である「Zend Core」を組み込むことも検討している。デスクトップ版のバージョン12相当の投入は,2008年第2四半期になる予定。

シンクライアント・システム「wizpy Style Secure Solution」も発表

 ターボリナックスはまた,同社のUSB機器「wizpy Style TC703」(以下,TC703)と8月8日に発表された2Xアルファ・ソリューションズのアプリケーション・サーバーを組み合わせたシンクライアント・システム「wizpy Style Secure Solution」も発表した。

 TC703は,パソコンのUSB端子に接続することで,TurbolinuxベースのOSから起動してパソコンをシンクライアント端末として利用できる。既存のパソコンやネットワークを使って,シンクライアント環境を構築できるため,初期コストを低く抑えられるという。

 今回は,2Xアルファのサーバーとセット販売することで,導入しやすくした。価格はサーバーの1ライセンスと,10個のTC703がセットの基本構成で,年間46万1650円。