写真 全取締役の退任を説明するニイウスコーの末貞会長
写真 全取締役の退任を説明するニイウスコーの末貞会長
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 ニイウスコーの末貞郁夫代表取締役会長は8月29日、全5人の取締役退任の理由について、決算会見の席上で説明した(関連記事)。午後8時から開催した会見の冒頭、末貞会長は「医療サービス事業からの完全撤退に伴い、特別損失を計上し40億円の債務超過に陥る。投資家や関係先にご迷惑をおかけした」と厳しい表情で説明し始めた(写真)。

 ニイウスコーは、企業の合併・買収やデータセンターへの投資を通して、約3年前から医療機関の運営を支える「医療情報システム」のASPサービス事業を拡大してきた。しかし、目論見通りにはいかず、「このまま続けると赤字が拡大するため、全面撤退を決断した」(末貞会長)。

 誤算は大きく2つあった。1つは「当初はシステムを買い取る需要が高くこの分野でエンジョイしてきたが、この1年間で医療機関がコスト削減を進めたため売れなくなった」(末貞会長)ということ。2つめはそれを補うために舵を切ったASP型のサービスで思うような値付けができなかったことだ。「今年度になって医療機関の顧客が高機能を要求する一方で予算を抑えてきたため、採算が悪化した」(同)という。

 結果として、買い取り型のソフトウエアで83億円、ASP型のソフトウエアで54億円、データセンターの閉鎖で40億円、といった巨額の損失を出してしまった。データセンターについては、東京センターと、沖縄の2センターのうち1センター、の合計2センターを閉鎖。沖縄の1センターで金融サービス事業を強化する。

 この金融サービス事業の利益率が下落するなか、ニイウス存続を左右するのが「ディーラー事業」だ。顧客に対し、IBM製品を中心としたハードウエア/ソフトウエアを納入し、システム構築や保守を提供するもの。

 ディーラー事業は603億円の売上高のうち498億円を占める大黒柱で、利益も大部分を稼ぎ出す。末貞会長は「新年度の事業計画については私が説明できる立場にはない」としつつも、カギを握る日本IBMとの関係については「今までと同様の取引をしていただくなど、支援について前向きに検討していただいている」と説明する。対する日本IBMは「今後、検討して決めていく」(広報)とコメントするにとどまる。

 今後、ニイウスコーは野村総合研究所から招聘するCEOや、合計で200億円の第三者割り当てに応じた投資会社が派遣する取締役の下で、事業再建の道を模索することとなる。