写真1●VPN通信用のDLLを使って開発したEmotion Link接続用ソフト
写真1●VPN通信用のDLLを使って開発したEmotion Link接続用ソフト
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写真2●Emotion Linkでリモート・デスクトップを使用している様子
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 フリービットは8月28日,同15日に発表したスマートフォン向けVPN(仮想閉域網)クライアント・ソフトをデモンストレーションし,年内にベータ版を完成させる計画だと明らかにした。このクライアント・ソフトは,IPv4の中にIPv6通信をカプセリングする手法を使うVPN技術「Emotion Link」用。Windows Mobile 5または6を搭載したスマートフォンで動作する(写真1写真2)。現段階ではベータ版以前の「テクニカルプレビュー版」だが,「年内にはベータ版の完成にこぎつけたい」(R&D部の大泉洋ジェネラルマネージャー)という。

 今回開発したのは,Emotion LinkのVPN通信に使用する2種類のDLL(ダイナミック・リンク・ライブラリ)。うち一つは,OSが備えるものとは別の独自のTCP/IPスタックを持ち,カプセリング処理も請け負う。もう一つは,スマートフォン内部でプロキシとして動作し,VPN通信を必要とするアプリケーションの通信を前述のDLLに橋渡しする役割を果たす。前者のDLLをVPN通信が必要なアプリケーションに組み込んだり,前者と後者のDLLを使った通信用アプリケーションを新規に開発したりして,Emotion LinkのVPNを使えるようにする。

 商用化済みであるパソコン用のVPNクライアントは,カプセリング対象はレイヤー2以上だが,スマートフォン用はレイヤー3以上が対象である。用途としては「スマートフォン用ソフトフォンに組み込み,セキュアな内線電話を実現する」「出先から社内のグループウエアを参照する」などが想定されるという。スマートフォンでVPNを実現する手段にはIPsecもあるが,Emotion Linkはフリービットが運用するサーバーを介して会社のサーバーなどに接続する仕様であるため,「通信設定はIPsecより簡単と言える」(大泉ジェネラルマネージャー)。アプリケーション単位で別のポリシーを持つVPNを容易に構築できる点も,特徴といえる。

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