電子マネーPiTaPa(ピタパ)のモバイル決済端末。
電子マネーPiTaPa(ピタパ)のモバイル決済端末。
屋外店舗や宅配サービスなどでの利用を想定
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 阪急電鉄、京阪電気鉄道など関西圏の私鉄を中心に構成する「スルッとKANSAI」(大阪市)が、IC乗車券・電子マネー「PiTaPa(ピタパ)」が関西を起点にじわじわと普及している。PiTaPaカードの発行枚数は約80万枚と多くないが、スルッとKANSAIの松田圭史・執行役員PiTaPaビジネスサークルコアリーダーは、「コストを考慮すれば、発行枚数は増やし過ぎないほうがいい」と語る。加盟店は関西圏を中心に約1万6000店舗に上るが、今年の4月から名古屋市の大須商店街約200店で導入を始めるなど、関西圏以外への進出も進めている。

 「電子マネーの一覧表などでは、なぜかPiTaPaが載っていないことが多い。(SuicaやEdy、nanacoなど)ほかの電子マネーに比べて、メディアなどであまり取り上げられないのが悔しい」(松田執行役員)。PiTaPa加盟店(約1万6000店舗)は関西圏が中心とはいえ、JR東日本が運営する電子マネー「Suica」の約2万1000店舗(関東私鉄の「PASMO」との相互利用分を含む)に次ぐ勢力になっている。

 ただし、発行枚数は約80万枚で、2000万枚を越えるSuicaなどに比べると圧倒的に少ない。プリペイド(前払い)方式のSuicaなどとは違い、PiTaPaはポストペイ(後払い)方式を採用している。PiTaPaカードの発行にはクレジットカードと同様の申し込み・審査が必要な点が影響している。

 「ほかの電子マネーのカードは1人で複数枚持っているケースも多い。カード枚数が増えれば運用コストの増大につながるため、増やし過ぎないほうがいい。PiTaPaの申し込みは1日当たり1000~2000件で、順調な増加ペースだと考えている。発行枚数よりカードの稼働率(利用率)を重視している」(松田執行役員)。発行済みのPiTaPaカードは1年以内に9割以上、1カ月以内でも8割以上が利用されており、休眠カードが少ないのが特徴だ。

 「(Suicaなどの普及が進んだ関東圏とは違い)関西圏などではまだ電子マネーの分野で圧倒的な地位を占めるものがない。コンビニエンスストアなどへの展開を進めるとともに、携帯電話網を使ったモバイル決済端末機を使って、タクシーや宅配ピザなどでの導入を促していきたい」(松田執行役員)と意気込みを語る。