写真1●「SIOS Integration for Google Apps」を発表する喜多伸夫代表取締役社長
写真1●「SIOS Integration for Google Apps」を発表する喜多伸夫代表取締役社長
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写真2●Google Codeで「gheimdall」の名称でソースコードを公開している
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 LinuxやJavaを中心としたソフト開発/システム構築を手がけるサイオステクノロジーは8月23日,Google Appsのユーザー向けに,学内/社内の認証システムと連携したシングル・サインオンを実現するインテグレーション・サービス「SIOS Integration for Google Apps」を開始したと発表した。同社は日本大学のGoogle Apps導入(関連記事1関連記事2)を支援した実績があり,その経験を生かして教育機関や企業向けにサービスを展開する。

 SIOS Integration for Google Appsでは,(1)シングル・サインオン,(2)アカウント同期,(3)パスワード同期の三つの機能を提供する。

 (1)は学内/社内の認証システムを利用してGoogle Appsにログインする機能。XML関連の標準化団体「OASIS」が策定したシングル・サインオン仕様「SAML」(security assertion markup language)に準拠しており,学内/社内のパスワードをグーグル側に渡さずにシングル・サインオンを実現する。(2)は学内/社内の認証システムに対するユーザーの追加や削除をGoogle Apps側に反映する機能,(3)はパスワードの変更を学内/社内の認証システムとGoogle Appsの両方に対して実行する機能である。連携可能な認証システムは,LDAP(lightweight directory access protocol)やKerberos(Active Directoryを含む)など。Gmailの送受信ログやアーカイブにも個別で対応するという。

 システム構築費は個別見積もりで「最低数百万円から」(喜多伸夫代表取締役社長,写真1)。年間保守料金は構築費の20%で,メールと電話による問い合わせ対応(平日の9時~17時)や月次報告書などの保守サポートを提供する。喜多社長は「企業向けのPremier Editionは有償だが,Education Editionは無償なので教育機関が今一番注目している。教育機関を中心に初年度30件の導入を目指す」と意気込む。

 なお,シングル・サインオンの仕組みはグーグルが提供する「Google Apps Provisioning API」を利用して実現している。このProvisioning APIのPython版は同社が開発し,6月末にグーグルに寄贈したという。SIOS Integration for Google Appsで構築するシングル・サインオン・システムも,「gheimdall」の名称でオープンソース(GNU General Public License v2.0)として公開している(写真2)。喜多社長はその狙いを,「当社独自でビジネスを進めてもグーグルが別のものをオープンソースとして公開すれば亜流で終わるだけ。グーグルと協力してサービスを展開した方が得策と判断した。またソースコードを公開することで世界中の開発者の目に留まり,バグも即座に修正できるようになる」としている。

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