東京電力は2007年8月22日、同社の大口契約先23件に対して電力供給を一時的に抑制する需給調整を17年ぶりに発動した。今回の需給調整で、主なパソコンメーカーに対する使用制限の要請はなく、生産工場ラインに影響が出ることはなさそうだ。

 東京電力は電力不足に備え、契約先と「随意調整契約」を結んでいる。この契約を結ぶことで企業側は電気料金の割り引きを受けられ、一方で東京電力は電力不足の際に電力供給の制限要請を契約企業に対して発動できる。今回需給調整を要請したのは、通告後1時間以内に瞬時に使用制限を開始できる「瞬時調整契約」を結んでいた23件。このほかの随意調整契約として使用制限の1時間前もしくは3時間前に通達する2種類の契約形態があるが、それらの契約形態を結ぶ企業に対して今回は要請はしていない。NECや富士通は東京電力と随意調整契約を結んでいるが、契約形態は瞬時調整契約ではない。

 東京電力の供給区域は栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県(富士川以東)。主なパソコンメーカーでこの供給区域にパソコン関連の工場を持つのはNEC、東芝、日本ヒューレット・パッカード。

 このうち、NECは群馬県太田市にあるNECパーソナルプロダクツ群馬事業場が東京電力と随意調整契約を結んでいるが、「通達後3時間で開始する契約形態のため、昨日の段階で要請はない」(NECパーソナルプロダクツ)。同社ではパソコンの生産は米沢事業場が行っているため、仮に使用制限の要請が来た場合でもパソコンの生産ラインに影響が出ることはない。群馬事業場では、パソコンの修理や再生を行っているが「(今後仮に使用制限の要請が来た場合でも)事業所内のエレベーターの停止、照明の調整などで契約内容の電力量は落とせる体制をとっているので、修理や再生ラインにも影響が出ることはない」(NECパーソナルプロダクツ)という。

 東芝は東京都青梅市にパソコン関連工場を持っているが、「(随意調整契約を締結しているかどうかは)答えられない」。ただし、東芝のパソコン生産の中心拠点は中国のため、随意調整契約を結んでいたとしても影響はないとみられる。日本ヒューレットパッカードは東京都昭島市に工場を持っているが、東京電力との随意調整契約は結んでいない。