写真 取引先へのBCP要請を発表する富士通の岡田取締役上席常務
写真 取引先へのBCP要請を発表する富士通の岡田取締役上席常務
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 富士通は8月21日、グループのサプライチェーンに組み込まれている主要な調達先300社に対して、災害など非常時にも事業を継続するための手順であるBCP(事業継続計画)の策定と実施を要請すると発表した。対象とする300社は、購入額が大きかったり重要部品を扱う取引先。年間3兆円の調達額の約9割、およそ2兆7000億円の規模となる。

 2007年度にパソコンと携帯電話の事業部門、08年度にその他の事業部門で開始する。調達部門を担当する富士通の岡田晴基取締役上席常務は「BCPの策定を通して取引先との協力関係をより強固なものとしたい。300社とは良好な関係であり応じてもらえると考えているが、場合によっては取引内容に反映させていく」と説明(写真)。取引先にとってはBCPの策定・実行が事実上の義務付けとなる。

 富士通グループは97年から調達先を、「品質」「価格」「生産」「技術」「環境」の5項目で評価してきた。今回、生産の一部に設定していたBCPを“格上げ”。「緊急時対応」「教育訓練」「地域連携」「生産能力」「生産設備」「部材特殊性」など、10の大項目、約200の小項目で評価する。

 取引先の評価が低かった場合、「富士通グループとして、取引先のBCP策定や改善をできるだけ無償で支援していく」(岡田取締役上席常務)との考え。もっとも、策定結果の実行にあたるラインの2重化といった設備投資は、基本的に取引先側の負担となる。

 富士通グループは2005年から、各ビジネス・ユニットごとにBCPの策定と実施に取り組んできた。自社グループでの体制が整備されてきたため、その範囲を取引先にまで拡大する。

 なお、同日、グループの富士通総研がサプライチェーンのBCP策定と実施のコンサルティング・サービスを開始すると発表した。今回、取引先の評価や改善に適用する手法をベースに提供する考え。