Linuxパソコンによる授業の模様
Linuxパソコンによる授業の模様
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 経済産業省が36校,合計数百台のパソコンにLinuxを導入する。同省が教育情報化促進基盤整備事業として財団法人 コンピュータ教育開発センター(CEC)に委託しているOpen School Platformプロジェクトとして実施するもの。教育機関の主として既存のパソコンに,CECが整備したLinuxパッケージ「OSP基本パッケージ」を導入する。

 8月に北海道から沖縄にまたがる小中高等学校および盲学校36校とサポートを担当する企業4社を内定した。各校に何台導入するかなどの詳細は未定だが,最低でも各校1クラス以上,数十台になる。そのため,36校を合わせれば少なくとも1000台規模になる。

 Open School Platformプロジェクトは経済産業省が実施している教育機関へのオープンソース・ソフトウエア導入事業。2004年度の「学校教育現場におけるオープンソースソフトウエア活用に向けての実証実験」(関連記事)に始まり,2005年度からCECが委託を受けて実施している。2006年度は6校に導入しLinuxと教育用アプリケーションを整備,「OSP基本パッケージ」としてCD-ROM化した。2007年度の事業ではこの整備したパッケージの普及拡大を目的とし,前年の6倍となる36校に導入する。

 「OSP基本パッケージ」はCD起動のLinux「KNOPPIX」をベースにしており,インストールすることなく使用できる。また「Linuxやオープンソース・ソフトウエアを初めて触る方でも安心して利用できるように多数のマニュアルを同梱した」(CEC)という(関連記事)。

 教育現場にとってオープンソース・ソフトウエアはコスト削減,セキュリティの向上,管理負荷の低減などが期待できる。オープンソース・ソフトウエアはLinuxなどのOSからその上のアプリケーションも含め無償で使用できるものが多いため,ライセンス・コストを削減できる。

 また文部科学省によれば,全国の小中学校・高校が保有するパソコンのうち約40万台が,Windows 98やWindows MeなどOSのサポートが終了したことによりセキュリティの確保が困難になっている。こういったパソコンもLinuxを使用することで安全に利用できる。

 そして「OSP基本パッケージ」はCDから起動するため,生徒が誤って設定を変更しても,再起動すれば初期状態に戻るため,管理の負荷が低減できるという。2005年度,2006年度の事業ではオープンソース・ベースのシンクライアントの導入も行っている。またパソコンを集中管理するツールもこの事業で開発され,無償公開されている。

 ただしLinuxはWindowsに比べ慣れた教員が少ない,Windows向けに作られたコンテンツの中に正しく動作しないものがある,周辺機器によってはドライバ・ソフトがなく使用できないといった難点もある。そのためサポートを提供する企業も同時に募集,内定した。

 内定した36校は以下のとおり。

  • 弘前学院聖愛中学高等学校
  • 八戸工業大学第一高等学校
  • 山形県立寒河江工業高等学校
  • 東北学院榴ヶ岡高等学校
  • 東北学院中学高等学校
  • 福島県立福島高等学校
  • 福島県立盲学校
  • 埼玉県立熊谷高等学校
  • 日本工業大学付属東京工業高等学校
  • 学校法人滝学園 滝高等学校
  • 三重県亀山市立亀山中学校
  • 三重県亀山市立中部中学校
  • 石川県立金沢泉丘高等学校
  • 京都学園中学高等学校
  • 奈良県立奈良朱雀高等学校(秋篠校舎)
  • 大阪府立清水谷高等学校
  • 東海大学付属仰星高等学校・
    仰星高等学校中等部
  • 帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校
  • 関西学院中学部
  • 学校法人須磨学園
  • 岡山県立水島工業高等学校
  • 倉敷市立豊洲小学校
  • 総社市立昭和小学校
  • 広島市立安佐北高等学校
  • 愛媛県立土居高等学校
  • 福岡県福津市立福間東中学校
  • 長崎県立波佐見高等学校
  • 大分県立鶴崎工業高等学校
  • 大分県立情報科学高等学校
  • 大分県立三重総合高等学校
  • 大分県立大分商業高等学校
  • 大分県立津久見高等学校
  • 大分県立日田林工高等学校
  • 日本文理大学附属高等学校
  • 宮崎第一高等学校
  • 沖縄県本部町立本部中学校

 また内定したサポート担当企業はアイズ,アルファシステムズ,協栄鯨合資会社,NPO法人 シニアSOHO横浜・神奈川,富士通岡山システムエンジニアリングの5企業。

◎関連リンク
Open School Platformポータルサイト