セキュリティキャンプ2007最終日の研究発表会
セキュリティキャンプ2007最終日の研究発表会
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セキュリティキャンプ2007の講師陣
セキュリティキャンプ2007の講師陣
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セキュリティキャンプ2007実行委員長の三輪信雄氏
セキュリティキャンプ2007実行委員長の三輪信雄氏
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 経済産業省と財団法人 日本情報処理開発協会が8月13日から開催している「セキュリティキャンプ2007」(関連記事)で最終日の17日,参加した学生による研究発表会が行われた。セキュリティキャンプは,全国から集まった学生が合宿形式でセキュリティの最新知識を実習で学ぶイベントである。今年は22歳以下の学生35名が千葉県幕張の海外職業訓練協会に集まった。

 発表会では3~4人のグループに分かれ,「ダメダメなシステム」,「ブログなどの炎上」,「家庭内セキュリティ・ポリシー」,「公開情報の真偽」,「コンテンツ共有」,「サイバー犯罪」の中からテーマを選び,自分たちで考えた分析や対策について発表した。

 例えば「ダメダメなシステム」では「社長を説得してネットワーク改善費用を要求する」「社員を教育する」などの提案に,仲間の学生や講師から「どうやって説得するのか」「どのようなポリシーを教えるのか」と質問が浴びせられるなど,簡単には答えの出ない難しい問題に対し活発な議論が交わされた。

 あたかもアドベンチャーゲームのようなプレゼンテーションや高橋メソッドでのプレゼンテーション,最近起きた事件を題材にするなど工夫を凝らした発表もあり,前日深夜まで準備を行ったグループも多かった。

 2004年から開催されているこのキャンプの大きな特徴は,講師陣が日本のセキュリティ技術の第一人者であることだ。実行委員長は三輪信雄氏。講師は園田道夫氏,根津研介氏,宮本久仁男氏,伊原秀明氏,渡辺勝弘氏,濱本常義氏,国分裕氏,塩月誠人氏,田口裕也氏,岡田良太郎氏,竹迫良範氏,吉田英二氏,村上純一氏と,いずれも実務のほか著作や執筆,コミュニティ活動で知られる著明な技術者である。

 参加者する学生は30名だが,第一線の技術者と直接触れ合うことで「次代のセキュリティを担う中核となる,とんがった人材を育成する」(経済産業省 商務情報政策局 情報化人材室長 夏目健夫氏)。

 キャンプには毎年,卒業生もチューターとして加わり,参加者の相談相手となっている。また卒業生や講師はメーリングリストなどで連絡を取り合っているという。実行委員長の三輪氏は「セキュリティキャンプも4年目になり,人のつながりが蓄積され文化ができてきた。まさに自分で起業しようとしている卒業生もいる。継続が大きな財産になっている」と語る。

 参加した学生は「知らなかったことが多くてためになった。勉強の仕方を教えてもらった」,「知らなかったことがかえって増えた」と,知識もさることながらキャンプによって新しいステージに上がる手がかりをつかんだという。そして「次はぜひチューターとしてここに戻ってきたい」と多くの参加者が声を揃えた。