米メロディスのケイヴァン・モハジャー社長
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midomi.co.jpのトップページ
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音楽の検索結果。曲名と共に、それを歌っている他のユーザーの声が表示される
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 米メロディスは2007年8月9日、音楽をテーマにしたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)の「midomi.co.jp」を、2007年8月10日に公開すると発表した。特徴は、ユーザーが実際に歌って音楽を検索できること。検索対象となる音楽自体にも、ユーザーが登録した歌声を利用する。ユーザーが歌声を登録することで検索可能な音楽を充実させていく、「音楽のWikipediaとも言える」(同社のケイヴァン・モハジャー社長)仕組みを採用している。

 midomi.co.jpの根幹となるのは、同社が保有する「Multimodal Adaptive Recognition System:MARS(複合適応認識システム)」という技術。音声データから、音程やリズム、言葉の情報、息継ぎの情報など複数の特徴を抽出し、「その中でも特徴的なものを絞り込む」(モハジャー氏)。例えばユーザーがラップ調の歌を歌った場合は、リズムよりも言葉の内容を重視するなど、曲に応じて検索手法を変化させる。言葉の情報はテキストに変換するのでなく音として利用するため、特定の言語に依存することはない。また、歌詞が分からない場合はハミングで歌っても検索できる。

 同社は2007年1月に、「midomi.com」というWebサイトを公開。現在までに10万曲以上の楽曲が登録されており、さらに1日当たり1000~3000曲が新規に追加されているという。日本語の曲は、このうち1万曲以上。「1カ月以内にも、5万曲程度になるのでは」(モハジャー氏)という。

 会見では、モハジャー氏自身が音楽検索をデモ。パソコンに接続したマイクである曲の一部を口ずさむと、その曲名と、過去にその曲を歌って登録した人のデータが一覧表示される。男女の声の違いや音程、リズムなどが異なっても、正しく検索できることをアピールした。メロディが同じでも、歌詞が異なると違う曲として認識できることも紹介。例えば日本語の「きらきら星」と、英語の「Twinkle, Twinkle, Little Star」「The Alphabet Song」などはメロディは同じだが、歌詞によって区別できる。

 midomi.co.jpはSNSとして開発されているため、歌を通じてユーザー同士がコミュニケーションすることも可能だ。ある曲を歌っているユーザーを探してコメントを書き込んだり、音声でコメントを残したりできる。歌に対して評価を付ける機能もある。

 著作権については、日本音楽著作権協会(JASRAC)の許諾を受けている。ユーザー自身が歌唱した音楽については、著作権を気にせずアップロード可能。同社がJASRACに対し、売り上げの3.5%を支払うことで合意しているという。またオリジナルの音源をアップロードするなどの著作権違反行為は、同社が人手でチェックして排除する。同時にアップロードされた音楽の品質もチェックしており、検索精度の低下につながると判断されるものについては、検索対象から外すなどの処置もしているという。

 ビジネスとしては、企業向けと一般消費者向けの両面で展開。企業向けでは、携帯音楽プレーヤーのメーカーなどに同社の技術をライセンス供与している。「今年末までに利益を出せるようになる」(モハジャー氏)。一般消費者向けには、midomi.co.jpなどを展開する。インターネット広告に加え、米アマゾンなどと協業して楽曲CDを販売するなどの形で利益を上げる。midomi.co.jpではリッスンジャパンとも提携。同社の音楽販売サイトへのリンクを張るなどし、アフィリエイト収入を得る。