米Vistoの日本支社は8月8日,プッシュ・メールのサービスを拡充すると発表し,パートナ企業のPTS Consulting Japanと新サービス「Visto Mobile」を開始した。プッシュ・メールは,企業のグループウエアのメッセージやスケジュール,連絡先などの情報を,スマートフォンなどの携帯電話にプッシュで送り同期させるサービスである。

写真●Visto Mobileのクライアントをインストールした「Nokia E61」の画面
写真●Visto Mobileのクライアントをインストールした「Nokia E61」の画面
 Visto Mobileは,携帯電話とグループウエア・サーバー間のデータを同期させるのに,携帯電話用のクライアント・ソフト(写真)と,Vistoが運用するNOC(network operation center),企業のLAN内に設置した同期用サーバーを使う。「同期用サーバーとVistoのNOC」「VistoのNOCと携帯電話」の各区間でSSL(secure sockets layer)セッションを張りっ放しにして,企業のグループウエア・サーバーのデータを端末にプッシュで送る仕組みだ。次にあげるような特長がある。

  • プル型で情報を参照する携帯向けWebページと異なり,データは端末に自動的に届く
  • モバイル対応のために,ファイアウォールのDMZ(非武装地帯)にリモート・アクセス用のサーバーを置く必要がない
  • データはエンド・トゥ・エンドで暗号化され,かつVistoのNOCに滞留しない
  • 通信にSSL(443番ポート)を使い,同期用サーバーからNOCにセッションを張りにいくため,企業のファイアウォールに大掛かりな設定変更をせずに済む
  • ノキアの「S60v3」対応端末,または米マイクロソフトの「Windows Mobile 5」以降を搭載する携帯電話を使う場合は,端末内の同期データをリモートから消去できる

 国内では,ソフトバンクモバイルがVistoのサービス・インフラを使った「ソフトバンクワイヤレスアシスタント」サービスを,同社の一部端末を対象として提供中。

 Vistoでは,国内で販売されているスマートフォンの製品数が増え,携帯事業者による定額サービスが相次いで開始された背景を踏まえ,利用できる携帯電話機や通信サービスを拡大。ユーザーの選択肢を増やす形で,Visto Mobileの提供に乗り出した。これにより,同様のサービスを提供するリサーチ・イン・モーション(RIM)の「BlackBerry」に対抗していく狙いである。料金もBlackBerryより低めに設定した。

 Visto Mobileの対応機種は,ソフトバンクモバイルの「X01NK/X01HT/705NK」,NTTドコモの「hTc Z」(ニーズがあればM1000にも対応可能),ノキア・ジャパンの「Nokia E61」。今後発売される端末として,ソフトバンクモバイルの「X02HT/X01T」とHTC Nipponの「HTC X7501/HTC P3600」にも対応する予定である。「W-ZERO3」などウィルコムのスマートフォンにも対応させる意向だ。

 Visto Mobileは,PTS Consulting Japanが販売する。料金は,Vistoのサービス利用料とサーバーの初期費用からなる。サービス利用料は1ユーザーあたり月額4000円。サーバーの初期費用は,サーバー・ソフトの代金とインストール作業を含み,Exchangeと同期させる場合は40万円,Dominoと同期させる場合は50万円である。通信料金は別途かかる。上記価格はすべて税抜き表示である。