写真●2Xアルファ・ソリューションズの木原則尚 代表取締役社長
写真●2Xアルファ・ソリューションズの木原則尚 代表取締役社長
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 2Xアルファ・ソリューションズは8月8日、シンクライアント・システムの製品群「2Xソフトウエア」の販売を発表した。同社によれば、他社製品の6分の1~10分の1のコストで導入可能という。低価格を武器に、大企業だけでなく中小企業にもシンクライアント・システムの導入を促す。

 2Xソフトウエアは、2X Software(本社:キプロス共和国)が開発したシンクライアント・システムのサーバー群。「2Xアプリケーションサーバー」「2Xシンクライアントサーバー」「2Xロードバランサー」の3製品がある。

 基本的なシステム構成は、2Xアプリケーションサーバーとクライアント端末から成る。2Xアプリケーションサーバー上でWordやExcelといった共有アプリケーションを動かし、その画面表示データをクライアント端末に送る、いわゆるサーバーベースト・コンピューティング(SBC)型のシンクライアント・システムを実現する。

 2Xアプリケーションサーバーは、Windows Server 2000もしくは2003にインストールして利用する。一方のクライアント端末として利用できるのは2種類ある。同社が別途提供する2X OSを起動させた端末か、通常のパソコンで専用クライアント・ソフトを動かしたものだ。専用クライアント・ソフトは、Windows 98、2000、XP、Vistaのほか、LinuxやMacintoshのOSにも対応している。そのため、Windowsで稼働するアプリケーションをLinuxやMac OSを搭載したパソコンで利用するといったことも可能だ。

 ヴイエムウエアの仮想化サーバー・ソフト「VMWare」を、2Xアプリケーションサーバー上で動かすこともできる。そのVMWareでWindows 98やNTといった古いOSを起動すれば、古いOSでしか動かないアプリケーションを、2Xソフトウエア専用クライアント・ソフトを搭載した最新パソコンで使うことができる。

 クライアント端末の一括管理をしたい場合は、2Xシンクライアントサーバーを使用する。クライアント端末のUSB機能を使えなくするといったデバイス制御などが可能だ。ユーザーごとの端末使用レポートも作成できる。クライアント起動時にネットワークを介して2X OSをクライアント端末に配信する機能を備えるため、サーバー側でクライアントの2X OSの一括管理も可能だ。

 クライアント数が増え、2Xアプリケーションサーバーを増設した時には、2Xロードバランサーを使ってサーバーへのアクセス状況を管理する。サーバーの負荷を考慮してアクセスを分散できる。クライアント端末からのセッションが途中で途絶えた場合、自動的に切断前と同じサーバーに接続し直す機能なども搭載しているので、携帯電話機とノート・パソコンを使って2Xアプリケーションサーバーにアクセスすることもできる。

 2Xロードバランサーはマイクロソフトのターミナルサーバーやシトリックス・システムズ・ジャパンのCitrixサーバーといったシンクライアント・サーバーと連携する機能を備えており、Citrixサーバーと2Xアプリケーションサーバーを併用するといった運用も可能だ。

 2Xソフトウエアの導入費用は、1000クライアントで利用した場合に、約2000万円。保守料が別途必要で、3年間1000クライアントで利用した場合、保守料を含めると1カ月当たり1クライアント600円程度のコストになるという。3製品はそれぞれ個別に購入することも可能。クライアント端末の一括管理が必要ない企業は、2Xアプリケーションサーバーだけを購入すればよい。ターボリナックスやサイボウズ・メディアアンドテクノロジーといった代理店を通じて販売する。

 2X Softwareはこれまで欧州を中心に2Xソフトウエアを販売しており、BMWやINGといった大手企業での導入実績があるという。日本では2007年7月9日から2Xアルファ・ソリューションズが試験的に販売。すでに数社が導入テストを実施している。大企業だけでなく、中小企業もターゲットとして、「2010年度までに40億円の売り上げを目指す」と2Xアルファ・ソリューションズの木原則尚 代表取締役社長は語った(写真)。