写真1 Fedora 8 Test1のデスクトップ。Test1では,新デスクトップ・テーマ「Nodoka」は使われていなかった。Fedora 7の「テーマ」,「デスクトップの背景」,「フォント」と「メニューとツールバー」を統合した「Appearance Preferences」を備える。GUI関連の設定をひとまとめにしたものである。
写真1 Fedora 8 Test1のデスクトップ。Test1では,新デスクトップ・テーマ「Nodoka」は使われていなかった。Fedora 7の「テーマ」,「デスクトップの背景」,「フォント」と「メニューとツールバー」を統合した「Appearance Preferences」を備える。GUI関連の設定をひとまとめにしたものである。
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写真2 Nodokaを用いたGUIの一例。作業しやすいことを狙って,すっきりした見た目のGUIになっている。
写真2 Nodokaを用いたGUIの一例。作業しやすいことを狙って,すっきりした見た目のGUIになっている。
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 Fedora Projectは2007年8月7日,Linuxディストリビューション「Fedora 8」のアルファ版に相当する「Fedora 8 Test1」(バージョンは7.90)を公開した(写真1)。現時点で判明している限りでは,起動の高速化と統合デスクトップ環境の改善がFedora 8の大きな特徴といえる。

 Fedora Projectは5月末に最新版のFedora 7を公開したばかり(関連記事)。その次期版であるFedora 8に関しては,8月28日にTest2,10月4日にTest3を公開し,11月8日に正式版を公開する予定である。

 今回公開されたTest1は,ソース・コード集以外に7種類もある。これは(1)米Intel社の80386系プロセッサ搭載機向けの「386」,Pentium ProやPentium M搭載機向けの「686」,米AMD社の64ビットCPU(米Intel社の64ビットCPUを含む)搭載機向けの「x86_64」,64ビットのPowerPC搭載機向けの「ppc」という4種類が存在すること,(2)ハード・ディスクにインストールして用いるDVD-R用のISOイメージと,CD-Rから起動してそのまま利用できる(ハード・ディスクへのインストールも可能)CD-R用ISOイメージを用意したこと,(3)標準の統合デスクトップ環境としてGNOMEとKDEを用意したこと,による。
 いずれも,カーネル2.6.21,glibc 2.6,gcc 4.1.2を採用している。

約20項目の改善に向けて,その一部をTest1に実装

 Fedora Projectは,Fedora 8で新規に組み込む仕様や改善あるいは強化する仕様として,約20項目を公表済み。ただし,Test1では,それらの一部が利用できるに過ぎないようだ。注目に値する改善点を以下に列挙する。

○性能向上
・XFSフォント・サーバーを標準では利用しないことで,起動時間を短縮する。
・RPMパッケージの差分ダウンロード技術「Presto」を開発して組み込む。ネットワーク転送量を低減できるため,日々のアップデートに要する時間が短縮される。yumのプラグインとして提供される予定。
・ノート・パソコンでのサスペンド・レジューム機能を改善する。ウエイクアップ時の消費電力も低減する。

○デスクトップ環境の改善
・標準のGNOMEパネルのほかに,オンライン・デスクトップを提供する「Big Board」を採用する。KDEについては,2007年10月末にも公開予定のKDE 4.0を採用し,Windows Vistaのガジェットに類似した機能を提供する。
・GUIや壁紙などには新テーマ「Nodoka」を採用する(写真2)。

○システム管理
・アプリケーションの実行権限を細かく設定できるポリシー設定ツールを提供する。
・Xen,KVMで利用できる管理ソフト「Virt manager」は遠隔利用が可能であるため,そのセキュリティを高める。
・デバック用の出力情報を強化する。

 このほか,マルチメディア・データの再生を支援するコーデック・ウイザード「Codec Buddy」の追加,Firefox 3.0で採用されるXUL Runner技術を他のアプリケーションにも採用,Fedora 8標準のFirefoxブックマークを選定,などの改善を加える予定である。