国内のIPアドレス体系を管理する日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は8月8日、現在主流のIPアドレス体系「IPv4」の枯渇問題に対し、具体策の検討を開始したと発表した。

 JPNICによると、「2010年には現在のIPv4の在庫がなくなり、配布できなくなる可能性がある」という。インターネットに接続するユーザー端末や通信機器が増えたのが背景にある。これに対してJPNICは、事実上無限のアドレス空間を利用できる「IPv6」の導入を有望視している。このほか、既にユーザーに配布したIPv4アドレスの回収も検討する。

 具体的な取り組みとしては、現在のIPアドレスを配布するポリシーを検討する「アドレス管理政策」、枯渇後の対策を検討する「IPv4アドレス在庫枯渇の克服策」の2つのワーキング・グループを設立。検討を開始した。また、JPNICの上位団体である「APNIC」が9月に開催する会合で問題を議論すべく、提案書を提出したという。

 IPv4からIPv6への移行が始まると、ネットワークの設定変更だけでなく、アプリケーションやミドルウエアの動作確認など、ユーザー側で様々な作業が必要となる。JPNICはこうした移行時のエンド・ユーザーのレベルでの混乱についても、きちんとした指針を示すことが求められる。既にクライアントOSの「Windows Vista」やルーターの上位機など、IPv6に対応する製品が出荷され始めている。