TRICHORD 1.2
TRICHORD 1.2
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 チェンジビジョンは,Java統合開発環境Eclipseをベースとしたリッチ・クライアント環境であるEclipse RCP(Rich Client Platform)上で実現したプロジェクト管理ツールの新版「TRICHORD 1.2」を,8月7日にダウンロード出荷した。プロジェクトの“見える化”に注目した製品である。価格は,1ユーザー2万1000円。

 TRICHORD 1.2は,Eclipse RCPベースのプロジェクト管理ツール。特徴は,トヨタ自動車の生産工場で採用されている“カンバン方式”を用い,業務プロジェクトの進ちょく状況をプロジェクト参加メンバーで共有できるようにしていること。カンバンとは補充部品の数などを記した票のことを指しており,「今まさに何をやるべきか」を示すことによってJIT(Just In Time)の生産や行動を実現する手法である。

 TRICHORDのカンバンは,(1)「TODO」(未着手),(2)「DOING」(作業中),「DONE」(作業完了)---,以上のたった3つのステータスだけを用いて,シンプルに個々の作業を管理する。これにより,TRICHORDの画面を短時間見るだけで,プロジェクトの進ちょく状況がリアルタイムに把握できるようになる。カンバンで管理する作業の単位として,粒度の粗い順番に,新機能や新版のリリースなどを管理する「フィーチャー」,CSV出力機能を持っているといった単位で作業を定義する「ストーリ」,ドキュメントをレビューするなど細かい単位で定義する「タスク」---がある。

 カンバンのほか,バーンダウンチャートと呼ぶ,残っている作業量を視覚化する右下がりのグラフを用意している。縦軸に残りの作業量を,横軸に時間を割り当て,あとどれくらいの時間がかかるのかを可視化する。また,ニコニコカレンダーと呼ぶ,プロジェクトの参加メンバーのその日の心の状態を色付きのスマイル・アイコンと一言メッセージで表現する機能を持つ。これを見ることで,プロジェクト・チーム全体の雰囲気が見える。

 従来版(2007年2月出荷)から見た今回の新版の機能強化点は,以下の通り。TRICHORDで管理している「こと」(個々のタスクやストーリーなど)を閲覧しやすくした。カンバン上だけでなく,こと同士の親子関係を木構造に表現したビューで探索可能にしたほか,直接,名前を文字列で検索できるようにした。

 さらに,他ソフトとの連携機能を追加した。例えば,Edgewall Softwareが開発してオープン・ソースとして公開しているプロジェクト管理ソフト「Trac」と連携できるようにした。Tracは,作業案件をチケットと呼ぶ単位で管理する。このチケットをTRICHORDのタスクとして取り込み,TRICHORD上の操作によってTracのチケットを完了できる。また,チェンジビジョンの文書作成関連ソフトであるJUDEで扱うアイディア表現図のマインドマップをTRICHORDに取り込めるほか,TRICHORDのデータをJUDEのマインドマップに反映させることが可能になった。

 なお,チェンジビジョンは,永和システムマネジメントと豆蔵の合弁会社。UMLモデリングや内部統制用途の文書化支援,プロジェクト管理,といったソフトウエアを開発・出荷している。