米国カリフォルニア州南地区米連邦地方裁判所は米国時間8月6日,米MicrosoftとフランスAlcatel-Lucentのあいだで係争中のMP3技術に関する特許侵害訴訟において,Microsoftに対して賠償約15億ドルの支払いを命じた陪審評決を覆した。Microsoftが同日,同地裁の判決文を公開したもの(関連記事:MP3特許侵害訴訟でMicrosoftに不利な判決)。

 この訴訟は,2003年に米Lucent Technologies(現Alcatel-Lucent)が米Dellと米Gatewayを訴えたことに端を発する。Lucentは,2社が採用しているWindows OSに,同社の特許に触れる技術が使われていると主張した。Microsoftは顧客であるDellおよびGatewayを救援しようと,Lucentを相手取り提訴。これを受けLucentが反訴し,両社間の係争に発展した(米InfoWorldの報道)。

 陪審団は2007年1月29日,米国特許番号5,341,457(457特許)と引用特許番号39,080(080特許)の特許2件について陪審裁判を開始した。2月22日にMicrosoftの特許侵害などを認め,約15億ドルの支払いを命じた(関連記事:音声圧縮技術を巡る特許侵害訴訟,Microsoftに約15億ドルの支払い命令)。

 これに対しMicrosoftは,「当社はMP3技術のライセンス供与を行っているドイツのFraunhofer Institute for Integrated Circuitsから,適切にライセンスを取得したと確信している。当社がFraunhoferに支払った1600万ドルという金額を考えると,評決の賠償額はあまりに法外だ」とし,カリフォルニア州南地区連邦地裁に判断を仰いだ。

 その結果,同地裁のRudi M. Brewster判事はMicrosoftが457特許を侵害していないことと,Fraunhoferが080特許の共同所有者であると認定し,評決と異なる判断をした。米メディア(InfoWorld)によると,Alcatel-Lucentは8月6日,ワシントンD.C.の米連邦巡回控訴裁判所に控訴する方針を明らかにしたという。

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