「中堅・中小企業向け市場ではマイクロソフトがライバル。この市場では、常に“ケンカ”をしかけてこられている。オラクルとしてきちんと戦う」。日本オラクルの三澤智光 常務執行役員は8月6日、売上高1000億円以下で従業員1000人以下の中堅・中小企業市場を対象とする新施策の発表にあたり、このように語った。「新施策により、同市場で昨年度10%以下だった成長率を、20%に伸ばす」(三澤常務)とする。

 新施策は、(1)専任組織の設立、(2)技術者向けのセミナーの見直し、(3)パートナー企業向け支援プログラムの見直し、(4)情報提供サイトの開設、の4点である。

 専任組織として設立するのは、クロスインダストリービジネス推進本部。同本部に30人を配置し、中堅・中小企業向けのマーケティング活動をしたり、パートナー企業との協業を促進したりする。

 顧客企業とオラクルにかかわる技術者向けには、1年間で500回以上の予定で無償セミナーを開催する。これまで要望が多かった「勤務時間後」や「週末」に開催したり、地方などで参加が難しい技術者にはPodcastなどによりセミナーを受講できるようにする。今年度中(2007年6月から08年5月)に、技術者認定資格「Oracle Master」の取得者を現状の17万人から20万人への増加を目指す。

 さらにパートナー企業向けの支援プログラムでは、これまで有償だったオラクル社内のサポート・ノウハウを、プログラム加入企業には無償公開したり、限定のセミナーや情報を提供したりする。これにより、支援プログラム加入企業数を1600社に倍増させる。

 最後は、「オラクル都市伝説」キャンペーンと題する情報提供活動である。「中堅・中小企業の中には、オラクル製品は高い、難しいといったイメージがいまだにある。それは、使用可能なハードウエアのプロセサ数を制限しているかわりに、価格を抑えているStandard Edition One(SE One)を知らないといった状況があるからだ」(三澤常務)。キャンペーン専用のWebサイトを開設し、製品に関する情報を提供していく。

 これらの新施策の対象となる主な製品は、データベースの「Oracle Database Standard Edition」と「同SE One」、アプリケーション・サーバーの「Oracle Internet Application Server Standard Edition」「同SE One」「同Java Edition」、ERP(統合基幹業務システム)パッケージの「JD Edwards EnterpriseOne」の6製品である。