LG電子ジャパンのBlu-ray/HD DVD両対応ドライブ。両規格のロゴが印刷されている
LG電子ジャパンのBlu-ray/HD DVD両対応ドライブ。両規格のロゴが印刷されている
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 LG電子ジャパンは、Blu-ray Disc(BD)とHD DVDの両方に対応したデスクトップパソコン内蔵用ドライブ「Super Multi Blue」の2機種を8月下旬から順次発売する。価格はオープンで、BDとHD DVDともに読み出しのみ可能な低価格モデル「GGC-H20N」の実勢価格は約4万5000円、さらにBDの書き込み機能も備える上位モデル「GGW-H20N」の実勢価格は約6万5000円の見込み。現在、国内で市販されている次世代光ディスクドライブは、BDもしくはHD DVDの片方のみに対応したものだけ。1台のドライブで両規格の読み出しを可能にするのは、同製品が国内初。

 LG電子はかねて、BD/HD DVD両対応の光ディスクプレーヤーやパソコン向けドライブの開発意向を表明していた。パソコン向けドライブは、2007年1月の「2007 International CES」や同年6月の「COMPUTEX TAIPEI 2007」で参考出展していた。今回発売した製品は、COMPUTEXで参考出展していた製品と同じ型番となっている。

 GGW-H20Nの次世代光ディスクに対する書き込み速度は、BD-Rが1層で6倍速、2層で4倍速。BD-REが1層/2層とも2倍速。読み出し速度は2製品共通で、1層のBD-ROMとBD-Rが6倍速、2層のBD-ROMとBD-Rが4.8倍速。BD-REが1層/2層とも2倍速、HD-DVD ROMが1層/2層とも3倍速。インタフェースはシリアルATA。大きさは幅148×奥行き190×高さ42mm、重さは870g。

従来価格で両対応、普及を後押しする可能性

 国内では2006年春から、次世代光ディスクドライブを内蔵した、AV機器としての光ディスクプレーヤーやレコーダー、据置型の家庭用ゲーム機などが順次発売されている。パソコンの分野でも、大手メーカーの最上位モデルに次世代光ディスクドライブを内蔵した製品がラインアップされているほか、デスクトップパソコンの内蔵用ドライブやUSB接続の外付けドライブが市販されている。しかし、価格の高さや訴求力の弱さ、規格争いの展望の不透明感などから、本格的な普及に至っていないのが現状である。

 今回の製品は単にBD/HD DVD両対応としただけでなく、実勢価格を現行の記録型BDドライブとほぼ同水準にしている。また、ここ1年ほどでHDCP対応のDVI/HDMI端子を備えたグラフィックスボードや液晶ディスプレイが広く市販されるようになり、次世代光ディスクで市販の映像ソフトを見る際に課題となっていた、著作権保護技術の問題もクリアしやすくなっている。こうしたことから、両対応ドライブの商品化が1つの契機となって、パソコン向け次世代光ディスクドライブの市場が今後広がっていく可能性もある。

 一方で、これまで次世代光ディスクの規格争いを演じていたソニーや東芝、松下電器産業などにとっては、方針転換を迫られる可能性もある。かつての記録型DVDなどと同様に、両対応ドライブが市場で広く受け入れられるようになると、規格争いをすること自体が意味を成さなくなる可能性が大きい。そうなった場合、ユーザーに混乱を与えない形での規格争いの終息などが今後の課題として浮上してくることも予想される。