YouTube日本版事業説明会に登場したGoogleとパートナー各社
YouTube日本版事業説明会に登場したGoogleとパートナー各社
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スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 執行役専務 田中晃氏
スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 執行役専務 田中晃氏
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YouTubeのスカパー・チャンネル
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YouTubeの吉本興業チャンネル
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 「この流れはせき止められない,ふところに入って違法コンテンツを防衛する」---スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー)執行役専務 田中晃氏は8月2日,グーグルが開催したYouTube日本版事業説明会で,YouTubeのパートナーになった理由をこう説明した。

 スカパーはYouTubeにパートナーページを開設し,プロモーションのために短時間の動画を公開している。その理由を田中氏は「テレビ画面だけでなく様々な場所で視聴するといったように,コンテンツの楽しみかたが多様化している。この流れはせきとめられない。そしてYouTubeをプロモーションの場として高く評価した」と述べた。「展開していきなりサッカーのゴールシーンに5~6万のアクセスがあり,YouTubeのパワーを実感した」(田中氏)。

 違法コンテンツ対策については「改善を強く要求しており,技術的な対応についての説明を受けた。パートナーなったことで,違法コンテンツをよりスピーディーに削除できる。言わばふところに入って防衛している」(田中氏)とする。

 今は単純なプロモーションのショートクリップを流しているだけだが,米FOXの人気オーディション番組「アメリカン・ダンスアイドル」放送開始にあたって,ダンス動画を今月下旬からYouTubeとスカパーのホームページで募集するという形での協力も始める。

 東京メトロポリタンテレビジョン 取締役 技術局長兼総合デジタル局 田沼純氏は「ローカル局なので東京にしか電波が届かない。他の民放のみなさんはネガティブな部分を気にしているようだが,自分たちはポジティブな部分を見て,地上波としては初のパートナーになることを決めた」と提携の理由を説明。実際に配信したところ「アクセス数が多かったのは一番はマスコットの夢ライオンの動画だったが,次は意外だったが西新宿のジャンクションを取材したニュース。本当の視聴者ニーズがわかってきた」と語る。今後はインディーズ・アーティスト,競馬,アナウンサーズコラムなど,順次番組数を増やしていく方針という。

 8月1日からYouTube日本語版に公式チャンネルを開設したアニメ製作会社GDHの取締役副社長兼COO内田康史は「メディア100年の歴史を見てみても,新しいメディアは敵になるものではない。どうアジャストしていくかがコンテンツ提供者にとっての課題」と,新しいメディアを使いこなしていきたいと語った。

 吉本興業は吉本興業チャンネルとzzz.tvの2つのチャンネルをYouTubeに開設した。吉本興業 執行役員 経営・財務戦略室長 中多広志氏は「例えばムーディ勝山のダウンロード売り上げが月間1億8000万円に達した。このように,新しいメディアによって新しい形の才能が芽生えるのではないかと期待している」と,新しいビジネスチャンスを探求していきたいと述べた。

 ミクシィは日記に動画が貼り付けられるサービスを8月2日から開始した。ミクシィサービス企画部 マネージャ 有野寛一氏は「mixiの日記は1日110万件投稿されているが,YouTubeは上位にランクする話題のひとつで,日記の約1%にYouTubeドメインへの言及がある」とmixiでのYouTubeの人気を紹介した。

 カシオ計算機は米国でYouTubeモード付きのカメラを2モデル発売した。YouTubeモードにすると,YouTubeアップロードに最適な画質で記録する。またパソコンの専用ソフトで簡単に,複数動画も一括してアップロードできるようになる。日本での発売はまだだが「デジカメ動画はカムコーダーに近付けることを目指してきたが,そうではなくデジカメならではの楽しみ方を追求したい。YouTubeモードを標準機能にしていきたい」(カシオ計算機 開発本部QV統括部商品企画部長 中山仁氏)。

 YouTubeはコンテンツの特徴(フィンガープリント)を登録する技術を数カ月以内に開始するとしているが,常時新しいコンテンツを放映しているテレビ局には登録しきれないなど,権利者の中にはこれでは不十分という声もある。これに対し米Google コンテント担当副社長 デービッド ユン氏は「著作権保護テクノロジーもまだまだ初期段階。100%完璧なソリューションとは考えていない。回避しようとする側とのいたちごっこはどうしても起きる。ただし今の時点ではフィンガープリントは最高のテクノロジー。単にテクノロジーだけでなく,コンテンツオーナーと協力していくことによって問題を解決したい。た例えばフィンガープリント技術をテレビ局のサーバーに載せることによって,登録のコストを抑えたい」と述べた。

 グーグル日本法人 代表取締役社長の村上憲郎氏は「JASRACを始めとする23団体と協議を続けている。完全に合意を得られるところまでは至っていないが,少なくとも進捗しているということは理解していただいていると考えている」と語った。