金融庁は8月6日から「『四半期報告制度』、『内部統制報告制度』及び『確認書制度』の実施等に関する内閣府令」を順次公布すると発表した(金融庁サイトの関連ページ)。ここでいう「内部統制報告制度」とは、金融商品取引法において、いわゆる日本版SOX法(J-SOX)と呼ばれている部分を指す。内閣府令はこのJ-SOXの内容を補完する役割を持つ。

 金融庁は今年5月17日に内閣府令の草案を公開し、パブリック・コメントを受け付けていた(関連記事1、関連記事2)。この草案にコメントを反映したものを7月31日に公表し、同日に閣議決定された。

 金融庁によると、内閣府令へのパブリック・コメントは、47の個人や団体から144件あったという。このうち、内部統制報告制度に関係するものは34件。「内部統制報告書の提出義務者」、「内部統制の評価範囲」、「内部統制監査報告書の記述方法」、「海外企業の特例」、「SEC(米国証券委員会)登録企業の特例」などについて意見が寄せられた。

 内部統制報告制度にかかわる内閣府令の正式名称は「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令」。今回はその概要のみが公開され、より具体的な内容は「後日発表」となっている。

 概要を読む限り、草案から大きな変更点はないものの、内部統制に取り組む企業がこれまで判断に迷っていた部分などに関して、回答や見解が述べられているので注意したい。例えば、内閣府令の草案には記述されていなかった、業務を外部委託している場合の評価範囲や書式のひな型について、具体例の明示を希望するパブリック・コメントがあったが、金融庁は「一律に示すことは困難であり、各企業において適切に判断されるべきもの」として具体例を提示しなかった。

 また草案では、内部統制を整備したり評価・監査したりする際に準拠すべきフレームワークとして、「一般に公正妥当と求められる基準」としている。これについて「実施基準以外に想定するものは何か」というコメントが寄せられたが、金融庁はその回答として「基準」と「実施基準」だけを挙げ、そのほかのフレームワークには言及しなかった。これにより、日本版SOX法に対応する企業が内部統制を整備する際には、基準と実施基準を必ず参考にすべきであることが改めて確認された。

 内閣府令の公表と同時に、金融庁は金融商品取引法の施行日を今年9月30日と発表。施行日を定める政令を8月3日に公布する。ただし、内部統制報告制度の適用は、事前に周知されている通り08年4月以降に開始する事業年度からとなる。