デジタル静止画ファイル・フォーマットの標準化組織Joint Photographic Expert Group(JPEG)は,米Microsoftの「HD Photo」を標準化するかどうかの検討を開始した。Microsoftが米国時間7月31日に明らかにしたもの。JPEGは検討作業の是非を問う投票を10月初めに実施し,作業推進が承認された場合は「JPEG XR」(仮称)として標準化に取り組む。

 HD Photoは,自然画などの連続階調カラー画像を圧縮保存するためのファイル・フォーマット。Microsoftが2007年3月に発表した新しい技術仕様である(関連記事:Microsoft,静止画フォーマット「HD Photo」を正式発表,標準化を目指す)。

 現在広く使われているJPEGの仕様に比べ,画質劣化が少ないにもかかわらず最大2倍の圧縮が可能という。可逆圧縮のほか,高画質な非可逆圧縮にも対応する。複数の解像度に対応し,画像の一部領域を処理対象にできるデコード機能を備える。カラー・バランスや明度などを調整しても元の情報を捨てないため,調整をやり直せる。

 HD Photoは,Windows Vistaに標準搭載の「Windows Imaging Component(WIC)」コーデックで処理できる。アプリケーション実行環境Microsoft .NET Framework 3.0もHD Photoに対応した。Microsoftは,Windows XPおよびWindows Server 2003用に同コーデックを無償ダウンロード提供している。

 Microsoftは,JPEG仕様を策定した実績のある組織JPEGにHD Photoを提出し,標準化を目指す。JPEGは,すでに構成メンバーである国際的な標準化団体などにHD Photo標準化作業などを含む計画案を通知している。計画の実施が投票で認められた場合は,1年以内に最終的な仕様が公開される見通し。

 なおMicrosoftは,「HD Photo仕様が承認されるなら,同仕様の実装に必要な特許をロイヤルティ・フリーで提供する」としている。

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