独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は7月31日,2007年度第II期の「未踏ソフトウェア創造事業」採択結果を発表した。テーマ数124件(応募総数237件)中から,30件のプロジェクトを採択した。
目を引くのは吉本敏洋氏の開発テーマ「グーグル八分発見システムの開発」。グーグル八分とは,ページが検索エンジンの検索結果から削除され表示されない状況を指す。該当ページに記述された企業や個人から検索エンジン運営会社への申し立てなどにより削除が行われている。
吉本氏は書籍「グーグル八分とは何か」の著者でもあり,またサイト「グーグル八分対策センター」を開設している。消費者問題に関するサイト「悪徳商法?マニアックス」を開設する管理人Beyond氏としても知られる。
吉本氏は「消費生活専門相談員」や「消費生活アドバイザー」の資格を持つとともにプログラマでもある。グーグル八分発見システムは具体的には「検索結果偽装の監視」を行うシステムになるという。選考やプロジェクトの評価を担当するプロジェクト・マネジャ(PM)は筑波大学大学院 システム情報工学研究科科長 田中二郎氏である。
未踏ソフトウェア創造事業は,新しい市場を開拓する独創的なソフトウエアを開発する個人やグループを資金面などで支援する事業で,IPAが2000年度から実施している。
2007年度第II期の採択プロジェクトは以下の通り。
1.斉藤 賢爾
Development and Application of Global Operating System Shell
1.佐々木 和志
携帯電話上の仮想ソケットシステムによる認証・ファイルシステム
2.扇 裕和
IDベース暗号を基に構成した公開鍵によるデータ共有システムの開発
1.杉江 崇繁
動的再構成可能ハードウエアと汎用モジュールの開発
2.渡辺 知恵美
日本語話者と学習者を巻き込むFolksonomy型オノマトペ用例辞典の開発
1.門脇 さくら
表情空間チャートの生成と表情表出リズムの可視化ツールの開発
2.吉田 一星
ソーシャルメモサイト,「メモジャ」の開発
3.岩渕 絵里子
電脳化粧鏡の開発
4.斎藤 幸士
ソーシャル・マークアップ・サービス,eLABELの開発
5.出口 博章
数式の二次元構造を直感的に扱うためのシステムの開発
6.福本 麻子
音楽で絵画を融合するメディアプレイヤーの開発
1.飯田 一博
3次元音楽創出のための立体音響ソフトウェア群の開発
2.松川 昌平
トポロジカルな関係性を構築する建築設計支援ソフトウェアの開発
3.森田 尚
高品質な書籍を簡単に制作するための出版支援ソフトウェアの実用化
4.黒田 哲司
仮想秘書サービス基盤の構築
1.井上 剛
Web分散コンピューティングによる株価分析ソフトの開発
2.田中 浩一
業務アプリケーション開発用途向けWhat記述指向言語の開発
3.荒川 傑
開発現場の「掟」を代行するJavaコンパイラ Irenkaの開発
1.阿部 正佳
実装言語独立でモジュラリティーの良いコンパイラキット SCK
1.松本 義秀
オフラインで利用可能なセキュア・オンラインストレージの開発
2.吉本 敏洋
グーグル八分発見システムの開発
3.田中 泰生
日常生活における,重要でない事柄への意思決定支援システム
4.村上 友樹
ユビキタス環境技術を用いた超越体験メディアの開発
1.五十嶋 さやか
Smoothie ローカルポータルによるファイル管理機構
2.林 良生
オンラインストレージを利用するJavaScript用データベースの開発
3.平山 宗介
RSS Collaborator for Windows Mobileの開発
該当なし
1.平山 直紀
オンラインゲームのセキュアなログイン認証
2.牧野 浩之
Tailでつながっテイル ~興味マッチングシステム~
3.吉野 圭一
汎用型フォースフィードバックコントローラの開発
4.常田 和人
鍵盤楽器を使った音楽ゲーム開発支援システム『ブラボー』の開発