米Microsoftは7月22日(米国時間),「Web検索サービス利用者のプライバシ保護にかかわる取り組みを強化する」と発表し,業界に同様の行動をとるよう広く呼びかけた(関連記事:Microsoftがプライバシ対策を強化,ユーザーの検索情報を18カ月で匿名化)。Microsoftは米Ask.comなどほかの検索サービス・プロバイダと協力し,オンライン環境でのデータ収集/利用/保護について広範なプライバシ原則を推進していく。この発表は,英国のプライバシ擁護団体Privacy Internationalが業界大手である米Googleのプライバシに対する姿勢を「hostile to privacy」(プライバシの敵)と評価した後になされた(関連記事:英プライバシ擁護団体,「MSをひいき」とのGoogleの抗議に「調査は公平」を主張)。

 Microsoftプライバシ戦略担当チーフのPeter Cullen氏は「検索やその他オンライン・サービスが発展すると,顧客にとって,自分の情報が適切に利用され,何らかの形で利益をもたらすと信頼できることが重要になる」と述べる。「この業界の他社にもわれわれの活動に加わり,こうした重要な問題に対処する原則を策定し,支援してもらいたい。ユーザーは,多様なプライバシ・ポリシーが複雑に組み合わされたオンライン環境を使うことなく,検索とWebサーフィンを行えるようになるべきだ」(Cullen氏)。

 Googleは7月第3週,ユーザーから受けた苦情や懸念に対応し,データ取得から2年後にクッキーを削除し,18カ月後にユーザーのデータを匿名化すると発表した(関連記事:Google,サーバー・ログの保存期間を18カ月に短縮)。プライバシ擁護派は,Googleがオンライン世界をほぼ支配して独特の地位を占めることを懸念している。Googleがクッキー削除やデータ匿名化といった変更策を示しても,こうした懸念は払拭されなかった。MicrosoftとAsk.comは報道されたGoogleの悪評を利用するとともに,ユーザーの不利益となりにくいWebサイト実現に向けた最近の傾向をうまく活用しようとしている。

 もっともMicrosoftの方針変更は,Googleが発表した内容と瓜二つだ。Microsoftは「Live Search」の全Web検索データを18カ月後に匿名化するが,Googleと全く変わらない。ただしMicrosoftはユーザー・データと個人情報との分離をもう一歩進め,許可なく両者を結びつけられないような対策を講じる。さらに当然MicrosoftとAsk.comは,こうした変更の標準化を計画中で,業界の企業に協力を求めている。この取り組みの最終目標について,Microsoftは「プライバシを犠牲にすることなく,各個人に合わせた高度なオンライン・サービスを提供すること」とする。