マイクロソフトは7月31日,Windows Vistaの特殊なエディションである「Windows Vista Enterprise」が動作するかどうか,メーカーが確認したパソコンを「Windows Vista Enterprise Ready PC」として公表すると発表した。ソニー,東芝,NEC,日本ヒューレット・パッカード,富士通,松下電器産業,三菱電機,レノボ・ジャパンの8社が動作を確認する。

 Windows Vista Enterpriseは,Windows Vistaの保守サービス権である「ソフトウエア・アシュアランス」をボリューム・ライセンス契約で購入した企業ユーザーだけが利用できる,Windows Vistaの特殊なエディションである。一般的な企業向けのエディションである「Windows Vista Business」にはない,ボリューム暗号化機能の「BitLocker」のような機能を搭載している。

 ただし,Windows Vista Enterpriseは,企業ユーザーが独自にパソコンにインストールするものであり,メーカーによるサポート対象にならない。そのためこれまでは,パソコンでWindows Vista Enterpriseが動作するかどうか,ユーザーが自分で検証する必要があった。

 今回マイクロソフトが発表した「Windows Vista Enterprise Ready PC」は,メーカーがユーザーに代わって,パソコンでWindows Vista Enterpriseが動作するか確認する取り組みになる。2007年11月の発売から半年が経過して,ようやくWindows Vista Enterpriseの動作確認体制が整ったと言える。

 一般的な企業向けのエディションであるWindows Vista Businessは,パソコンにプリインストールされて販売されていて,ハードウエアもOSもパソコン・メーカーがサポートする。また,Windows Vista Businessがプリインストールされているパソコンでは,アクティベーションもパソコン・メーカーによって行われている。

 それに対してWindows Vista Enterpriseは,ユーザーが自分でインストールする必要もあるし,パソコン・メーカーからはOSのサポートが受けられない(マイクロソフトがサポートを担当する)。またWindows Vista Enterpriseのアクティベーションを行うには,ユーザー企業が社内で「アクティベーション・サーバー」を運用する必要がある。Windows Vista Enterpriseは,ユーザー企業にとって,非常に敷居が高いエディションであると言える。

 Windows Vista Enterpriseの導入の敷居を下げるためには,パソコン・メーカーがWindows Vista Enterpriseをプリインストールして販売できるようになる必要があるだろう。マイクロソフトWindows本部プロダクトマネジメント部の中川哲部長は「今回の取り組みは,Windows Vista Enterpriseを普及させるプロモーションの第一フェーズに当たる。第二フェーズでは,パソコン・メーカーによるWindows Vista Enterpriseのプリインストール提供なども検討していく」と述べている。