「SOA(サービス指向アーキテクチャ)が現実のものになっている。パートナー企業と協力し、SAP版のSOAである『Enterprise SOA(E-SOA)』を推進していく」。SAPジャパンのロバート・エンスリン社長は7月30日、同社の下半期のビジネス戦略について説明会を開き、こう説明した。具体的には、「エンタープライズSOAコンピテンスセンター」を同社内に設置し、パートナー企業と共同で500人規模の体制でスタートする。

 エンタープライズSOAコンピテンスセンターでは、パートナー企業とSAP製品によるアプリケーションを連携できるかを検証したり、ベスト・プラクティスを共有したりする。そのほか、ビジネス・プロセスの専門家のための「Business Process Expert」や業界別の「Industry Value Net」などのコミュニティ活動への参加を促進し、日本企業の発言力強化を狙う活動も行う。

 同社の2007年上半期におけるソフトウエアとソフトウエア関連サービスの売り上げは、前年同期比(為替変動分を除く)23%増の228億5000万円で、「半分を新規顧客が占め、(日本市場は)アジア太平洋地域の中で成長のカギを握る」(エンスリン社長)とする。一方で、「顧客企業は、ソフトウエア・ライセンス分の5~10倍のコストをかけ、SAP製品を導入している。それだけの価値を顧客に提供しなければならないし、投資回収期間も短くできるようにしなければならない」(同)。そのために、E-SOAの推進がある。

 さらに、中堅・中小企業向けのビジネスも強化する。具体的には、ERP(統合基幹業務システム)パッケージの業種/業務別のパラメータ設定や導入サービスなどをまとめた「SAP All-in-One」の製品群を拡大したり、中堅企業向け製品の「SAP Business One」の販売パートナーを支援するための継続的な投資を実施したりする。エンスリン社長は「中堅・中小企業向けの担当者は2005年には15人程度だったが、2007年までに100人規模に増員した。SAPジャパンの売り上げのうち、中堅中小企業は25%を占める重要なマーケットで、今後も中堅・中小企業向けビジネスを拡大したい」とした。