中国公安省(PSB)は7月第4週,米国でPSBと同様の活動を展開する米連邦捜査局(FBI)の協力を得て,史上最大規模のソフトウエア偽造団を摘発したと発表した。この摘発作戦は「Operation Summer Solstice」(夏至作戦)という名称で,5億ドル超相当のソフトウエアを押収し,主に広東省南部で25人を拘束した(関連記事:数十万枚輸出,利益率は85%以上――Windows/Officeの大規模偽造団が摘発)。

 とても信じられないが,評判の悪い米Microsoftの海賊版対策技術「Windows Genuine Advantage(WGA)」がこの作戦で利用された。Microsoftによると,12カ国のユーザー1000人以上が中国の犯罪組織からそれと知らずに海賊版ソフトウエアを購入し,WGAで不正版であることに気づき,報告用のソフトウエア・ツールを使ってMicrosoftにその犯罪行為を知らせたという(関連記事:FBIと中国公安省が中国の犯罪組織を摘発,20億ドル相当の海賊版Microsoft製品を販売)。Microsoftはこの情報をPSBとFBIに渡し,中国の犯罪拠点を探し出すのに役立たせた。

 WGAは,Microsoftが海賊行為に対してとる“ビッグ・ブラザー”的な防止手段の一例とされることが多く,これまで「罪のない正直なユーザーが犯罪者扱いされた」という内容の記事で大々的に報じられてきた。Microsoftは,この件でWGAの評価が一転するように願っている。

 Microsoft製品マネージャのNick White氏は7月24日(米国時間)同社のブログで,「WGAの最終目的は,対象プログラムの購入者を懲らしめることではない。というのも,そうした人々は,実際には被害者なのだから」と書いた。「(WGAは)懲らしめるのでなく,被害を受けたことを知らせるとともに,何らかの対処をするためのツールである」(White氏)。