写真●Intelが開発したシリコン製のレーザー変調器
写真●Intelが開発したシリコン製のレーザー変調器
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 米Intelは,デジタル・データを40Gbpsで光信号に変換可能な,シリコン(Si)製半導体のレーザー変調器(laser modulator)を開発した(写真)。Intelフォトニクス(光回路)技術研究所のAnsheng Liu氏が米国時間7月24日,同社の公式ブログへの投稿で明らかにしたもの。

 光集積回路(PIC:Photonic Integrated Circuit)をSi製半導体と組み合わせるには,デジタル・データを高速に光信号へ変えるSi光学変調器(silicon optical modulator)が欠かせない。現時点で実用化されている光学変調器の動作速度は10Gbpsで,ニオブ酸リチウム(LiNbO3)やIII―V族化合物半導体などの比較的新しい材料を用いている。こうした素材は,最大で動作速度40Gbpsの実績がある。

 Intelは,より一般的で安価な材料であるSiを使って同等の性能を出そうと試みてきた。ただし,結晶Siは非線形な電気光学効果を示すため,非常に困難だったという。

 Liu氏の研究グループは微細なマッハツェンダー干渉計と進行波を利用し,40Gbps動作のSi半導体レーザー変調器の開発に成功した。この干渉計は,PN接合部を持つ2本のアームで構成されている。干渉計の接合部に逆方向の電圧を印加すると,フリー・キャリアが接合部から引き出され,屈折率が変化する。2本のアーム間の位相差に変調をかけることで,干渉計を通過する光の強さも変調できる。フリー・キャリアは約7ピコ秒という極めて短い時間で接合部から引き出されるため,高速な変調が可能という。

 研究グループはこの干渉計をプリント基板に実装し,最大40Gbpsのデータ転送が可能なことを確認した。

[Liu氏の投稿]