米Microsoftは米国時間7月24日,中国広東省を拠点とする海賊版ソフトウエアの製造販売組織が摘発されたと発表した。この組織は,20億ドル分に相当するMicrosoft製品の海賊版を製造販売していたとされており,この種の犯罪では世界最大の規模になるという。米連邦捜査局(FBI)と中国公安省(PSB)は,これまでにFBIのロサンゼルス支局やMicrosoftからの情報をもとに,数年間にわたる捜査を続けてきた。その結果,PSBが過去2週間に数件の強制捜査を行ない,今回の逮捕につながったという。

 この組織が製造したとされるMicrosoft製品の海賊版は27カ国で見つかっており,これには「Windows Vista」「2007 Microsoft Office」「Office 2003」「Windows XP」「Windows Server」など13製品が含まれる。少なくともクロアチア語,オランダ語,英語,ドイツ語,イタリア語,韓国語,中国語,スペイン語の8言語の偽造版が製造されている。

 捜査段階において,警察当局や税関で押収された海賊版やMicrosoftの顧客やパートナから寄せられた海賊版ソフトウエアの5万5000本以上が中国の同じ犯罪組織から販売されたことが明らかになった。これらの5万5000本の海賊版ソフトウエアは,同組織が製造して世界中に販売した偽造製品全体の1%にも満たないという。今回の摘発により,世界で流通する海賊版の数が減少するとMicrosoftは予想している。

 今回の捜査には,Microsoftの顧客や小売店が貢献しているという。海賊版対策ツール「Windows Genuine Advantage(WGA)」によって使用しているソフトウエアが偽物だと判明したユーザーの1000人以上がWindows XPの偽造版の実物を提供している。また,100店以上の小売店が,電子メールや請求書,支払伝票などを提供したという。

 米メディアのCNET(CNET News.com)によると,PSBの強制捜査では,米Symantec製品の海賊版も発見されており,合わせて25人の容疑者が逮捕されたという。

 海賊版により,世界のソフトウエア業界は年間400億ドルの損害を被っているという。調査会社の米BSAと米IDCによれば,2006年にソフトウエア全体で海賊版が占める割合は35%だったという。この割合を4年間で10%低下させるで,240万人の雇用につながる可能性があるという。過去18カ月だけで,世界の捜査当局が押収したMicrosoft製品の海賊版は91万4177本を超えている。

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