GMOインターネット証券 代表取締役社長 高島秀行氏
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OSSプラットフォームセミナー会場
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楽天技術研究所 代表の森正弥氏
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 「標準的な開発費用の5分の1で証券取引システムを構築できた」---GMOインターネット証券 代表取締役社長 高島秀行氏は7月24日に開催された「OSSプラットフォームセミナー」の基調講演でこう語った。

「OSSとアジャイル開発をフル活用」,GMO証券高島氏

 高島氏は「6カ月でネット証券システムを構築! Linux/OSS活用の極意」と題して講演した。GMOインターネット証券は2006年5月にサービスを開始。Ajaxの活用による使い勝手のよいインタフェースや,WebサービスAPIの公開など”Web 2.0時代のインターネット証券”を目指したシステムにより,2007年5月時点で2万6122口座,月間売買代金は1兆8326億円に達している。Web APIを使うことで,ユーザーはExcel上に構築されたクライアントなど独自のプログラムから売買できる。Web API経由の注文の割合は約10%に達しているという。

 高島氏はGMOインターネット証券を創業する以前にもインターネット証券取引システムを構築した経験を持つが,今回LinuxやJBoss,SpringやHibernateといったオープンソースの活用やアジャイルな開発手法を採用したことにより「開発期間は標準の3分の1の約6カ月,総工数は3分の1の約100人月,総費用は5分の1の約3億円に抑えることができた」(高島氏)。Rubyも同社ホームページのセッション管理機能など取引システム以外で活用しているという(関連記事)。

「エンタープライズRubyを推進」,楽天 森氏

 楽天技術研究所 代表の森正弥氏は「楽天におけるLinux/OSS活用の歴史と未来~サード・リアリティ時代に向けて」と題して講演した。楽天技術研究所は「楽天をテクノロジーで差別化するための技術開発を担う組織」(森氏)である。

 現在,楽天ではオープンソース・ソフトウエアを広範に活用している。数千台のサーバーがあり,Linuxを主にWebサーバーやメールサーバーなどに利用している。「ディストリビューションはDebianが多い」(森氏)。LAMP推進部があり,MySQLやPHPも広く使用している(関連記事)。

 そして「今は検索エンジンのsennaとRubyが熱い」(森氏)。楽天では既にRuby on Railsで実サービスを開発,運用し展開している。まつもとゆきひろ氏を楽天技術研究所のフェローに迎え,Ruby推進部も設立している(関連記事)。「エンタープライズでのスケーラブルなRuby活用を推進するとともに研究開発を行い,成果をコミュニティにフィードバックしたい」(森氏)。

 森氏はWeb 2.0の先にあるインターネット・サービスは「サード・リアリティ」という言葉で表現されるものになると予測する。「Webの進化に呼応し,リアリティはそれ以上に進化し,すべての関係性が協力して創造を実現していく」というビジョンを語った。