Microsoftは,Xbox 360ゲーム・システムの信頼性問題のために,記録的な11億ドルもの修理交換費用を計上すると発表したわずか1週間後,ゲーム・ビジネスに極めて直接的に関わっていた幹部社員が同社を去ることを明らかにした。Microsoftのインタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス部門の上級バイス・プレジデントを務めていたPeter Moore氏は,ゲーム・メーカーの米Electronic Arts (EA)に入社して,EA Sportsのプレジデントに就任することになっている。

 Moore氏が,信頼性の懸念があることに加えて,Microsoftの当初の予想ほど売れていないXbox 360の問題が理由で,同社を強制的に退社させられたのかどうか,Microsoftは明らかにしていない。さらに,ゲーム・ディスクに再使用が不可能になるほどの傷がつくなど,Xbox 360の他の不具合についても,様々なうわさが流布している。

 「Peter氏は2003年にMicrosoftに入社して以来,ゲーム・ビジネスに多大な貢献をした。彼が去ったのはとても悲しいことだ」とMicrosoftのEntertainment&Devices部門プレジデントであるRobbie Bach氏は語った。「在籍中に彼は,Xbox 360の全世界での発売の指揮を執り,ブランド名を変更して活気を取り戻したGames for Windowsビジネスを先導し,同コンソールを軌道に乗せるために尽力してくれた」。

 ところで,Bach氏はXboxの信頼性問題について同社が発表を行うまでの数週間の間に,620万ドル相当のMicrosoft株を売却していたことが話題になっている。保有するMicrosoft株の約20%を売却するという,Bach氏による疑わしい取引に関して,インサイダー取引の法的懸念が浮上している。Bach氏が株式売却時に,品質保証関連の問題が発生することを知っていたのは間違いないからだ。実際に,Bach氏は7月5日に「Microsoftは,『何カ月』も前からこの問題を認識していた」と話して,このことを暗に認めている。彼は,発表がなされる約6週間前から株の売却を開始した。

 MicrosoftでMoore氏の後釜に座ったのは,EAの幹部社員だったDon Mattrick氏である。MattrickはEAで15年間務めた後,昨年同社を去り,2月からMicrosoftに助言を行っていた。