写真●第1四半期決算を発表するKDDIの小野寺正社長兼会長
写真●第1四半期決算を発表するKDDIの小野寺正社長兼会長
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 KDDIは7月23日,2007年度第1四半期(2007年4月1日~6月30日)の連結決算を発表した。売上高は対前年度比5.7%増の8440億8300万円,営業利益は同15.6%増の1409億400万円と増収増益だった。増収増益の原動力となっているのは,売上高の4分の3を占める移動体通信事業で,固定系事業の赤字を吸収しながらも好調な業績を維持した。

 同社は2007年4月に,2007~2010年度の中期目標「チャレンジ2010」を公表済み(関連記事)。同目標によると,初年度に当たる2007年度の通期連結予想としては,売上高3兆5000億円,営業利益3900億円を掲げている。この見通しに対して今期は,売上高で24.1%,営業利益で36.1%を達成したことになる。KDDIの小野寺正社長兼会長(写真)は,会見において順調に計画が推移していることをアピールした。

「誰でも割」のターゲットはNTTドコモ

 好調を維持している移動体通信事業だが,KDDIはここ2カ月間,ソフトバンクモバイルに純増数1位の座を奪われ,純増数2位に甘んじている(関連記事)。会見ではこの点について質問が相次いだ。

 小野寺社長は,「52万という今期の純増数は,我々がもともと考えていた四半期ベースの純増数に近い。通期予測の181万に対して約30%の進捗であり,数字は間違っていない。MNP(番号ポータビリティ)で負けが込んできたり,解約率が上がれば大きな影響があると言える。しかし現時点では問題は無く,対抗策を打つ必要はない」と語った。

 また,先日発表したばかりの,携帯電話の月額基本料金を一律半額にする「誰でも割」(関連記事)については,ソフトバンクモバイルではなくNTTドコモに対抗するものであると述べた。「ドコモが料金施策を打ってきたので(関連記事),それに対抗しようとして導入した。ソフトバンクモバイルを意識したのではない」(小野寺社長)。その狙いとしては,単純な値下げではなく「分かりやすい料金体系を作ること。これによって純増数を増やすというよりも,我々から他社へ移行する数を防止できる」(同)とした。さらに,誰でも割導入に伴って今期200億円の減収を見込むが,「通期予測では,この影響は折り込み済み」(同)との説明を繰り返した。

 なお小野寺社長は会見において,ソフトバンク・グループやNTTドコモが開発を進める,超小型の携帯電話基地局である「フェムトセル」の開発についても言及した(関連記事1関連記事2)。「技術的な検討を進めているが,最終的には制度面での取り扱いや,フェムトセルの価格が課題になるのではないか。技術面よりもこれらの点について課題をクリアにしていく必要がある」(小野寺社長)と語った。