米国規格協会(ANSI)の諮問機関International Committee for Information Technology Standards(INCITS)の役員会は米国時間7月19日,ISO(国際標準化機構)における米Microsoftのオフィス・アプリケーション向け文書フォーマット「Office Open XML」の国際標準化プロセスに向け,「コメント付きで承認」(Approval with comments)すると決めた。Microsoftの技術エバンジェリストであるDoug Mahugh氏が同日,自身のブログへの投稿で明らかにしたもの。

 Office Open XMLは,Microsoftのオフィス・アプリケーション向け標準ファイル形式。国際的な標準化組織Ecma Internationalが2006年12月にEcma標準(Ecma standard)「Ecma-376」として承認した(関連記事:標準化組織Ecma,オフィス・アプリ向けファイル形式「Office Open XML」を承認)。2007年4月よりISOで国際標準化プロセスが進められている(関連記事:Microsoftのファイル形式「Office Open XML」,国際標準化の投票段階へ)。

 対抗する規格としては,XML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)が標準仕様として承認した「Open Document Format for Office Applications(OpenDocument/ODF)」が存在する(関連記事:OASISがXMLベースのファイル形式「OpenDocument 1.0」を承認)。ODFはISO標準にもなっており,オープンソースのオフィス・スイート「OpenOffice.org」や,米Sun Microsystemsの「StarOffice」,KDEプロジェクトの「KOffice」,米IBMの「Workplace」などが採用している(関連記事:MicrosoftがODFの米国規格化に賛成票,「Open XML標準化への道を開く」)。また,米Adobe Systemsが「Portable Document Format(PDF)」のISO標準化を目指した作業を進めている(関連記事:Adobe,「PDF」仕様全体のISO標準化に向けた作業を開始)。

 INCITSの役員会がOffice Open XMLを認めたことで,同仕様をISO標準化するかどうかについて今後も継続して議論が行えるようになった。最終的な米国の立場は,9月2日に決定する予定。

 米メディア(InfoWorld)によると,INCITSはISO内で米国の立場を代表する組織という。さらに同メディアは,仮にINCITSがOffice Open XMLのISO標準化に賛成票を投じたとしても,イタリアやポルトガルなど難色を示す参加国に反対される可能性があると報じている。

 また別の米メディア(internetnews.com)によると,Office Open XMLは7月第2週,INCITSの技術委員会Technical Committee V1にISOで賛成することを否決されていた。ただし,INCITSの役員会にはMicrosoftに対抗するIBMやAdobeなども参加しているため,米国としてOffice Open XMLに賛成するかどうかの最終判断は予断を許さないという。

[Mahugh氏の投稿]