米Broadcomと米QUALCOMM間の特許侵害訴訟をめぐり,米国際貿易委員会(ITC)から輸入禁止命令が下されている携帯電話について,Broadcomと米Verizon Wirelessがライセンス契約を結んだ。両社が米国時間7月19日に明らかにしたもの。これにより,Verizon Wirelessは問題となっている特許技術を利用したモバイル製品の輸入および販売を継続できる。

 契約条件のもと,Verizon Wirelessは1xEV-DO対応の携帯電話,PDA,データ・カード1台販売につき6.00ドルをBroadcomに支払う。1四半期あたりの上限を4000万ドルに設定し,支払い総額は最大2億ドルとする。

 BroadcomとQUALCOMMの特許侵害訴訟では,QUALCOMMの製品がモバイル・デバイスの電源管理技術に関するBroadcomの特許を侵害していると,ITCが判断。ITCは,QUALCOMM製チップおよびチップセットなどを搭載した携帯電話の一部を輸入禁止とすることを6月7日に決定した。これを受け,QUALCOMMは米連邦巡回控訴裁判所にITCの命令執行の保留を申し立て,大統領拒否権の発動を要請する意向を同日中に発表している(関連記事)。

 しかしITCは6月21日に,QUALCOMMによる禁止命令解除の要請を退けたことを明らかにした。ITCはその理由として,「QUALCOMMは同社が主張する『禁止命令が執行された場合の甚大な損害』などを十分に証明できなかった」(ITC)と説明した(関連記事)。

 なお今回のライセンス契約締結に伴い,Verizon Wirelessは,ITCの禁止命令撤回を求める申し立てを取り下げることでも合意した。

[発表資料へ]