日本IBMは7月19日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくシステムの開発を容易にするためのミドルウエア製品「IBM WebSphere Business Services Fabric(WBSF)V6.0.2」を発表、7月20日から出荷を開始する。すでに日本IBMは昨年11月からこの製品を利用したSIサービスを開始しているが、このたび日本語化を完了させ、自社でこの製品を使いたい企業に向けて提供する。

 WBSFは、「口座の開設」、「予審」など業務上意味のある単位でまとめられたアプリケーション部品群である「ビジネス・サービス」を組み合わせて利用するための実行環境。どのような業務の流れ(ビジネス・プロセス)でビジネス・サービスを呼び出せばよいかをXML形式で記述したひな型や、呼び出す際のインタフェース仕様、業種別の用語モデルやメッセージ・モデルなどで構成する。

 実際に動作するビジネス・サービスは含まないため、「WBSFをインストールしただけでは、動くシステムを作ることはできない」(山下昌夫WebSphere事業部長)。ビジネス・サービスは新規開発するか、既存システムの一部を利用するなどして自社で用意することになる。WBSFはそうしたシステム開発を容易にするための枠組みでしかないというわけだ。

 自社でビジネス・サービスを用意できない企業に対して日本IBMは、WBSFをSIサービス組み合わせて提供する。同社では今、「サービス部門で“SIのノウハウ”としてビジネス・サービスを蓄積している」(渡辺隆WebSphereマーケティング・マネージャ)。そのため、それらをWBSF上で動作させれば、すぐにでも動くシステムを構築できるという。

 ビジネス・サービスをそろえ、それらの実行環境となるミドルウエアと共に提供するのは、独SAPや米オラクルと同様のアプローチである。両社はビジネス・サービスと実行環境を組み合わせて“次世代のパッケージ”として販売するが、IBMはほぼ同様の構成でありながら“次世代のSIサービス”として提供する。どの企業もSOAに基づくシステムを目指しているため、こうした状況になった。

 WBSF単体での価格は、ビジネス・サービスの開発環境である「IBM WebSphere Business Services Fabric Tools Pack V6.0.2」が207万4000円(1ユーザー)から。ビジネス・サービスの実行環境である「IBM WebSphere Business Services Fabric Foundation Pack V6.0.2」が3360万5000円(1CPU)から。