トヨタ自動車、日産自動車など大手各社は、中越沖地震の影響で完成車の製造を7月19日以降に一時停止する。自動車部品メーカー、リケンの柏崎工場が被災し部品の納入が止まるためだ。

 不足する主な部品は、エンジンを構成する「ピストンリング」と変速機を構成する「シール材」である。トヨタは両部品、日産はシール材、本田技研工業はピストンリングが足りていないという。大手自動車会社に変速機を納入している大手部品メーカー、ジヤトコやアイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)の生産状況も影響している。両社ともリケンの部品をほぼ100%使っているからだ。ジヤトコは18日夜の段階で生産量を6割減としており、アイシンAWは全国の工場からシール材を集めてなんとか生産を続行している。

 トヨタは、19日の夕方から20日中まで全国の工場を停止、日産は20日以降に一部ラインを非稼働としたり主要工場での休日出勤を取りやめるといった、それぞれの措置をとる。本田は19日午後までに対応を決定する。このほか、三菱自動車や富士重工業が生産の一時中止を決めている。

 本来であれば事業継続性計画(BCP)の実行を確保するため、自動車や大手部品メーカーはリケン以外で同等部品の調達先を確保しておくべきだが、「高精度な部品であり、リケン以外からは調達していないのが実情」(大手部品メーカー)という。サプライチェーンの情報システム整備やバックアップ構築と同時に、調達先の冗長性確保も大きな課題となっていることが浮き彫りとなった。

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