2009年の商用化を目標にUMBの開発を進める
2009年の商用化を目標にUMBの開発を進める
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ワイヤレスジャパン2007会場のクアルコムブースでデモ実演中のUMBユニット
ワイヤレスジャパン2007会場のクアルコムブースでデモ実演中のUMBユニット
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30M~40Mbpsの通信速度が出ている
30M~40Mbpsの通信速度が出ている
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 今から2年後、288Mbpsの通信速度とパソコン並みの性能を持った携帯電話が登場するかもしれない。東京ビックサイトで20日まで開催されている「ワイヤレスジャパン2007」の会場で2007年7月18日、携帯電話向け通信チップを開発するクアルコムジャパンは2009年の市場投入を目指す新方式UMB(Ultra Mobile Broadband)のセミナーを開催した。

 UMBとは、クアルコムが開発している次世代の携帯電話向け通信方式。現状方式(EV-DO Rev.A)の通信速度は下りで3.1Mbps、上りで1.8Mbps。UMBでは下りで最大288Mbps、上りで最大75Mbpsが実現できるという。アンテナを複数本使うことで通信を高速化するMIMO技術や、送信電波の方向を制御して周波数の利用効率を上げるSDMA技術などで高速化する。

 UMBによる高速化が求められている背景について、クアルコムジャパンの川端啓之 ワイヤレスブロードバンド事業推進室ディレクターは「現状ではあらゆるネットワークがすべてIPに移行することは避けられない」と説明。どこにいても同じリッチなアプリやサービスが利用できる環境が求められているという。

 2008年第1四半期にはUMBに対応した端末用のチップ、第2四半期には基地局用のチップを発表する予定。商用化は2009年半ばを目標としている。ワイヤレスジャパン2007会場のクアルコムブースでは、試作品を使ってUMBのテストを実演中。UMB経由で動画データを受信しながら「Google Earth」などのアプリケーションをネット経由で動かすという内容で、30M~40Mbpsの通信速度が出ている。

 通信環境が整えば、ハイビジョン表示などアプリケーションを実行するための処理能力も求められる。UMB時代の携帯端末では「マイクロプロセッサーも1GHzに到達するだろう」と川端氏。同社が採用しているプロセッサーは740MIPS(1秒間に実行できる命令数を示す単位)だが、次世代版は2000MIPS以上になるという。