高速版Bluetoothでは幅広い周波数帯を使って通信を高速化する
高速版Bluetoothでは幅広い周波数帯を使って通信を高速化する
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超低電力Bluetoothは、健康・医療機器や自動車など、さまざまなセンサーデバイスとネット上のWebサービスを組み合わせた用途を想定している
超低電力Bluetoothは、健康・医療機器や自動車など、さまざまなセンサーデバイスとネット上のWebサービスを組み合わせた用途を想定している
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 東京ビックサイトで20日まで開催されている「ワイヤレスジャパン2007 」で、2007年7月18日、Bluetoothの最新動向を解説するセミナー「Bluetoothフォーラム」が開かれた。2008年には高速化、低消費電力化の機能を盛り込んだ新規格が登場するなど、今後の展望が紹介された。

 フォーラムの冒頭には規格策定の業界団体Bluetooth SIGの本保孝治 テクニカル・マーケティング・マネージャ 日本担当が登壇。まずはBluetooth SIGの現状を説明した。2001年2月の設立後、Bluetooth SIGのメンバー企業は増え続け、現状では8000社以上という。特に中国企業が急激に増えており、台湾や韓国を抜いて、中国企業の登録数がアジア地域で最多になったという。

 パソコンや携帯電話などBluetooth対応機器は増えつつあるが、Bluetooth SIGではさらに幅広い用途に応用できるように規格の更新を続ける。例えば、2008年の規格化を目指しているのが通信方式にUWB(ウルトラワイドバンド)を採用した高速版Bluetooth。音楽プレーヤーとの同期、ファイル転送、ビデオ転送などに利用できるという。

 もう一つの新技術は超低電力版Bluetooth。Bluetooth SIGは2007年6月に、低電力の通信規格を策定していたWibreeフォーラムと合併し、Wibreeの機能はBluetooth規格の一部となる。走行距離計、万歩計、体温計、心拍数モニターといった健康/医療機器に応用できるという。機器への実装では超低電力版Bluetoothと従来のBluetoothの機能も同時に搭載できるようにすることで「既に10億台が普及しているBluetooth機器を生かせるようにする」(本保氏)という。

 続く講演では「Bluetoothテクノロジーロードマップ」と題して、Bluetoothの制御チップを開発しているシーエスアールの富永創樹チーフ・エンジニアがBluetoothの技術動向を説明した。2007年8月に策定される予定の「リスボンリリース(Bluetooth V2.1+EDR)」の最も大きな改善点が、機器同士の接続方法を簡素化すること。ある統計によると、Bluetooth機器をどうやって接続したらいいか分からないという問い合わせが最も多く、45%に達するという。これを解消するため機器上のボタンを押すだけで、接続先の検索・発見ができる「Find Me」モードを導入するなど、操作を簡素化する。接続先を発見した後は、機器同士が認証し、通信を暗号化をした上で接続する。

 2008年前半の仕様策定を目指す「シアトルリリース(Bluetooth V3.0)」ではUWBを使った高速版Bluetooth、Wibree規格の超低電力Bluetoothが盛り込まれる。イベントなどで複数の機器に向けて、一斉にデータ送信をする「ブロードキャストチャネル」も追加する。送信できる機器は最大5万台。100mの距離まで通信できるという。